4話 好きな人
「そういえばさ、俺の好きな人の話ばっかりしてたけど、
研吾はいないの?好きな人。」
「…うーんっと」
「その反応はいるのか!?好きな人が!!」
クラスメイトの名前すら覚え出せないくらいだから好きな人なんて覚えているわけない。
それで濁しただけなんだけど、勘違いされてしまった。
「いないよ。」
「嘘だ!!研吾いつもはすぐにいないよって答えたのに今日はめっちゃ答えるの遅かったもん!
俺だけ好きな人言って研吾だけ逃げるなんて許さないからな!!!」
そう言いながら彰が僕の襟元を掴んでブンブンゆする。
どうしよう僕が言うまで離してくれなそうだな。
よく居そうな名前とか出すか?
「えっと田中さん、とか?」
「うちの学校確か一人しか田中いなかったよな…。」
「えっ…」
「それは、うちの学校の田中奏か?」
「っうん。」
嘘!?一人しかいないの田中さん。
大抵学校に少なくとも5人くらいは居るでしょ!?
田中さんで特定されちゃうの?
選ぶ苗字間違えたかも…
「いや!彰そのまだ好きってわけじゃ、
ちょっとほんとちょっと気になってるよ〜くらいで…。」
「大丈夫だ!!俺は研吾を応援するぞ!
安心しろ。」
なんか誤解で知らない人と僕の恋を応援されそう。つら。
◇
「研吾〜何見てんの?」
「ん?ああ、雨見てた。
雨止まないかな、憂鬱。」
「そっか、だよな!
お前アイツのこと好きだもんな。そりゃ部活姿が見れない雨の日は嫌だよな〜」
「は?」
「照れるなよ、あと俺お前の好きな人誰にも言わないからお前も内緒な」
「別に照れてないし…
それに言わないよ彰の好きな人誰にも。」
「サンキュ」
彰がニヤニヤしてると思ったらそう言うことだったのか、雨で部活見れないってことは外の部活?陸上部とかサッカーとかソフトボール部だったりして田中さんは結構ボーイッシュな人なのかな。
うーん、わからないやでも早めに誤解は解きたいな。
「そうだ!今から奏に会いに行こうよ!」
「なんで?」
「だって今日は窓から部活してるところ見れないだろ?
だったら直接会えた方がいいじゃん」
「いやいいよ。」
「遠慮するな!一人が嫌だったら俺もついて行ってやるからさ、な?」
今何言っても彰聞いてくれなさそうだな、それに僕も田中さんを見てみたいし…
「わかった行くよ。」
「よしっ決まり!」
彰について行ったら体育館に来た。
やっぱり田中さんは運動部だったらしい。
「えっと、奏はどこだ」
あそこにいるソフトボールしている人綺麗だな。
「あっ居たぜ!奏!」
そう言いながら、彰が指差したのはさっきの綺麗な人だった。
なるほどあの人が田中さんだったのか。
「話しかけるぞ!」
「いや、いいよ」
「今!話しかけなきゃお前は一生後悔する!いつかあの時話とけばよかったって後から後悔するんだよ。」
「っおい…どうしたんだよ彰。」
彰は俺の制止も聞かず行ってしまった。
しばらくしたら彰が田中さんともう一人の男子を連れてきた。
「研吾ごめん。三河さんも増えちゃった。
でも俺が三河さんを頑張って引きつけてやるからちゃんと話せよ」
…嘘じゃん
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