第74話
ゲーム内容、ババ抜き。
「ババ抜き?」
「ババ抜き…」
これ程立派な賭博会議場で、ルーレットやスロットがあるのに。
選ばれたのはトランプで行われる、なんとも庶民的なゲームだった。
「ババ、ババ抜き…嘘だろ、こんな奥の深いゲームをするのか…ッ!難解過ぎて勝負が成立しないんじゃないのか!?」
双蛇羅刹が手を口に添えて困惑した表情を浮かべながら体をガクガクと震わせていた。
「これを、二人でするのか?」
今回の勝負。
選ばれていたのは加咬弦と黒隠の二名。
つまりは二人でババ抜きをする事になる。
「当たり前だろ、あたしちゃんはディーラーだし、王様と加咬の二人じゃ公平じゃねえ、どちらか一方だけと言えば、加咬が選ばれるからよ」
「妾が相手をすれば、即座に勝負が付くのだがの」
「だーかーら、それだと勝負にならねえから、加咬にしてんだっての、なー?加咬ー」
テーブルに座る様に誘導する双蛇羅刹。
二人がテーブルに座った所で、トランプを切り始める。
「んで、お前ら、何を賭けるんだ?」
「賭ける?」
「あたしちゃんの能力は双方が同意した場合、なんでも賭ける事が出来る。勝ったらその人間に負けた奴が賭けたモンを得る事が出来る」
「ならば命だ」
黒隠がそう言った。
加咬弦は首を横に振る。
「ババ抜きで命を賭けてたまるか…なあ羅刹。この賭けの内容は、相手にそれを実行させる、と言った命令権を賭ける事は可能か?」
ゲームマスターである双蛇羅刹に聞く。
「はあ?なに馬鹿な事言ってんだお前。あたしちゃんのスキルは支配系じゃねぇよ。賭けられるのはあくまでも自分が保有する権利だけだ。命令とかそう言うのは無理」
「ほう。ならばスキルを賭ける事はどうかの?」
統道旭が席に座る加咬弦の隣で、双蛇羅刹に聞いた。
カードを配り出す双蛇羅刹は彼女の言葉に頷く。
「流石だぜ王様、スキルは賭けられる。負けたらスキルの権利は勝った方に移動する」
「ならばスキルを奪い合うのはどうであろう?命は賭けられぬ、ならば、命の次に大事なスキルであれば?」
そう聞いた。
加咬弦は統道旭の言葉に頷く。
スキルを賭ける。
最悪、負けたとしても、彼のスキルは二つある。
その内一つを奪われても問題無いだろうし、逆に相手のスキルを奪い、弱体化も狙える。
「それならば了承してやっても良い…だがその前に…」
黒隠は双蛇羅刹の方に顔を向いて言う。
「ゲームは何回行われる?」
「ゲーム回数?一回で良いんじゃないのか?」
黒隠が乗り気じゃない為に、ゲーム回数は一回だけだと思っていた。
「ゲーム数を決める事が出来るのならば、乗っても良い」
「…因みに、何回にするつもりだ?」
黒隠は加咬弦の方に人差し指を向ける。
「お前のスキルの所持数分だ」
つまり、黒隠はこのゲームで加咬弦のスキルを全て食い尽くそうとしていた。
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