第71話
暗闇から女神出てきて、困惑の表情を浮かべる加咬弦。
「(なんだこのスキルはッ)」
暗闇から手が出てきて、その手が加咬弦を掴もうと伸びてくる。
どう対処すれば良いのか分からず、反応しない様にするが。
「(…ッ!爺様めが、黒隠を呼びよせたのか)」
統道理事長と深い関わりを持つ統道旭は、そのスキルがどの様な効果を発揮するのか理解していた。
彼女とて、統道家の実娘であり、黒隠とは何度も会った事がある。
流石に、全てのスキルの全貌を知らないが、それでも大きなアドバンテージにはなる。
「うぉおお!?なんだこりゃぁ!気持ち悪ぃ!!触んな、しっし!!」
足をジタバタさせて、双蛇羅刹が暗闇の手から逃れようとする。
「おい、無闇に動くな」
加咬弦は、彼女の行動に対して嗜める様に言うが、それに対して、既に攻略法を知る統道旭は逆に加咬弦に対して告げる。
「いや、弦。動いた方が良い、『深淵の
その言葉とスキルの内容からそれが事実である事を悟る加咬弦。
「っ、分かった!」
頷くと共に彼は足に纏わり付こうとする暗闇の手を払い除ける。
暗闇の手は次第に消えていって、その代わり、手を払いのけた加咬弦ら以外の場所に口が開いた
。
ちゅうちゅうと、ネズミの様な声が聞こえて、そして次第に消えていく。
再び暗闇に変わると、加咬弦は息を吐いて、安堵の表情を浮かべながら統道旭の方を向いた。
「は、あっ…、なあ、旭。さっきのは一体…」
説明を求める加咬弦。
統道旭は周囲を見渡して、黒隠がいない事を察すると二人に向けてこう告げた。
「このスキルを所持している人間を妾は知っておる。名を、黒隠、スキルを7つも所持するマルチスキルホルダーよな」
7つ。
途方もない数字を聞いて、加咬弦は目眩の様な感覚に見回れた。
「そいつは一体」
「爺様の私設部隊よな。所属理由は知らんが、少なくとも、お前を殺す為に来たのだろうて」
黒隠と呼ばれる存在。
それが自分を殺す為に来ている。
「奴は暗闇からの奇襲に長けておる。このまま暗闇にいても拉致があかんだろうて」
黒隠の対象方。
それは彼に見つからずに逃走する他無い。
それ以外の方法があるにはあるのだろうが。
現状の手札では覆る可能性が極めて低かった。
「そいつ、黒隠って言うのか?だったら、あたしちゃんが見つけてやるよ」
そして。
その話を半分しか聞いてなかった双蛇羅刹が自らのスキルを誇示しようとしていた。
「おい、ちょっと待て」
「んじゃあ行くぞ!煌めけあたしちゃんのスキルっ!!『
そう叫んだ。
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