第69話
「(第五のスキル『
黒隠の第五のスキルが発動される。
空間大系・ランクD。
その効果は黒隠の周囲に闇を展開させるスキルだ。
が、その暗さは周囲を消す程ではなく、ほのかに光が灯っている。
完全な闇ならば、ランクBは確定している所だろう。
それでも、機動部隊の隊員はこのスキルで一瞬の視界を奪われる事になる。
「マスク装着ッ」
誰かが叫ぶ事で、退院は下顎に付属されるボタンを押す。
すると、顎付近に設置されたシールドが展開されて、頭部を覆う。
近代防護ヘルメットであり、ガスマスクや暗視ゴーグルなどの役割を担う。
懐から取り出すのは電磁ナイフだ。斬ると同時に電気が流れ、相手を麻痺にする事が出来る。
無論、隊員は耐電・耐熱・耐寒が付属された隊服を着込んでいるので同士討ちになる可能性は低い。
「(なんだコイツは…顔が認識できない)」
暗視ゴーグルからでも、黒隠の顔はモザイクが掛かっており、認識する事が出来ないでいた。
既に彼のスキル『
「(暗闇でも向かって来るか…ならば第四のスキル『
第四のスキル『影絵芝居』を発動。
『影絵芝居』は影を操るスキル。
完全な暗闇であればスキルを発動する事は出来ない。
しかし、『満月の狂人』はほのかな光に包まれている。
それによって彼が影を生む事が出来る余裕さが残っていた。
「(更に第一のスキル『
第一のスキルである『幻影』。
肉体大系に属するこのスキルはランクA相当の強スキルだ。
自身の肉体を影にする事が出来、それによって物理攻撃を完全に無力化する事も可能となる。
そして自身の影を使い『影絵芝居』を使用して影を操作し、数十種類の球体を作り上げる。
影で出来た球体。『影絵芝居』によって自在に動かすと、機動隊員の影に触れる様に動かす。
「(第二のスキル『
そして支配大系スキルが発動される。
『
対個人には有利だが団体には不利なスキル、しかしそのデメリットを自らのスキルで解消している。
これによって、影の球体に触れた機動部隊の大勢が行動を停止してしまう。
「(これで大幅の戦力を削る事が出来る…そしてこの状態になった時点で詰みだ)」
第七のスキルを発動する。
そのスキルの発動条件は『目が開き、手が掴み、口が開くまで、暗闇に居る事』だ。
『
暗闇の底から、ぱっかりと、白い眼が開いた。
ギョロギョロと、暗闇の中に居る人間を確認した所で、手が伸びる。
その手が隊員たちの体を掴んで、離さない。
黒隠は肉体が影になっている為、その手に触れられる事は無かった。
隊員たちは、最後にその口を見た。
薄暗い暗闇よりも、より濃く、真っ黒な深淵が其処に展開されていた。
大きく開いた口が、隊員たちを飲み込んでいく。
「(第七のスキル…『
深淵に飲み込まれたら最後。
二度と戻って来る事は無い。
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