第63話
双蛇羅刹を見送った加咬弦は金策に関して心配した。
「で、金は何処にあるんだ?」
統道旭は玄関の扉を閉めると、聞こえない様に鍵を掛ける。
「二階のベッドの近くよ、ほれ、一緒に来るが良い」
早々と足早に加咬弦の手を引いて、二階へ向かう階段を駆け上がる。
「え?俺も行くのか?」
金庫を開けるのは一人で十分だろう。
それに、人前で金庫を開けると言うのは親しい仲でもしてはならない行為ではないのか?
「当たり前だろうて、如何に安全をモチーフに設計された別荘地でも、お前が狙われる可能性もある、いざと言う時に、妾が居れば便利だろう?」
強力なスキルを所持している統道旭の言葉に、確かに、と頷く。
「あぁ…協会の連中とか」
自分を狙う人間の顔を思い浮かべる。
彼らに出会うのも時間の問題だろう。
「それに…、私設部隊の連中も、な」
自らの祖父が所持する部隊を思い浮かべた。
どちらも危険であり、どちらも加咬弦を狙っていると言う共通点があった。
二階へと昇る。多く設置された部屋の中から、一つの部屋の中へと入る。
「ここか、結構広いんだな」
この別荘地の中でも、何処の部屋よりも大きいと思える程な部屋だった。
「元々は夫婦の寝室として作られたからの…、しかし埃まみれ、生活するとすれば、まず掃除が必要だろうて」
ベッドのシーツには埃が被っていた。
「そうだな…」
こんなに汚れていたら、ベッドの上に座りたくもない。
少し考え事をしている統道。
「ふむ、弦。とりあえずベッドの上でも掃除しておくと良いぞ」
そう提案した。
「ベッドを?今するのか?」
確認すうr様に聞く。
金庫を確認する為に来てみれば、掃除する羽目になるとは思わなかった。
「今しなければならん、当然だろうて」
早くしろと言いたげな表情だった。
ため息を一つ吐く。
一応家主であり、世話になる身だ。
仕方なく、命令を聞く事にした。
「…ああ、分かった」
パンパンと、シーツの埃を叩く。
ついでに、周囲の部屋の埃も取ることにした。
「これでいいか?」
掃除が終わり、多少見映えが良くなった部屋の中。
「うむ、埃がなくなっただけでも良いの…、流石に、思い出となる時には、多くの不純は減らすべきだろうて」
統道は及第点、と言って見せる。
加咬は首を傾げた。
「思い出?」
「そう…ほうれっ」
統道が加咬に乗っかり、そのままベッドへと倒される。
「うわっ!、なんだよ、旭、急に、胸に飛び込んで来るなん、ぬぐっ」
喋る途中に、統道が彼の唇を塞いだ。
「ん…ふふ、男と女、同じ寝床に居るとすれば…ヤることなど、一つだと思わないかの?」
ぺろりと舌で唇を舐める。
するすると衣服を脱いで、卑猥な表情を浮かべていた。
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