第26話
AM5:00。
旧迷宮学病院の地下三層。
迷宮迷子となった人間は短期検査の後、その人間がにはラベルが与えられる。
スキルを所持していながら国家に対する敵意、人間に対する危害が極めて薄く、協会からの監視下の元で生活が確約される
人為的被害及び国家迫害の可能性を持つ精神異常者。
協会が決めた施設内のみでの活動が許可されている
そして、人権を剥奪され、半永久的に封印、または処分すべきと判断され、特別施設に収容された存在が
現在、この旧迷宮専門学病院には、黒色判定疑惑の迷宮迷子が二名存在する。
その内の一名は集中治療室での施術を施され、肉体は一命を取り戻したが意識不明のまま、延命装置を繋げた状態で厳重な監視下の中で回復を待っていた。
異変に気が付いたのは、監視カメラで病室を監視している一人の協会役員であった。
「…」
監視カメラでは、最新鋭の映像技術によって鮮明な画面が写っている。
其処に眠る包帯で肉体を巻かれた男から、黒い粒子の様なモノが溢れていた。
「オーダー、オーダー。特別収容室より、黒側に異変あり、至急確認を求む」
協会と契約した護衛会社のスタッフが待機している為に、その要請に反応して五分も掛かる事なく、三層の特別収容室へと移動する。
部屋を見渡せる特殊ガラスの前から、三名のスタッフが中を確認。
黒い粒子が形成し、人骨の様な形状になっている事を視認する。
「生物大系のスキルか、あれは」
ガスマスクを装着したスタッフ『イエローレイン』がそう呟いた。
全身を特殊ゴム製のラバースーツで覆う彼は肉体から神経麻痺を起こすスキル『アシッドスモーク』を所持している元迷宮迷子である。
「協会に連絡をお願いします。対象は現在、無意識にスキルを発動している可能性があります。銃撃体勢に移りますので事前に発砲許可をお願いします」
防弾チョッキを着込んだ『ガンマン』が無線機から連絡し、腰に着けた自動拳銃を抜き取ると、それを構えて発砲状態を整える。
「睡眠ガスは放出しているのか?」
「既に致死量を越えてます。それでもスキルが解除されてない所を見るに、本体には効いてないかも知れないですね」
パソコンを持つ『ハッカー』がそう告げた。
片手でノートpcのキーボードを叩きながら病室を操作している。
「毒ガスは噴出機に備えられてないんだろう?、なら仕方がない、突入して直接殺害する」
物騒な事を言うが、相手が黒色だからこそ出来る事だ。
黒色は精神的に悪性に降りきっており、確実に人類に対する害意を与える存在だと検査の結果で出ている。
更にスキルを所持している以上、重火器を所持した殺人犯と同等の戦力と換算されるので、迷宮時代のこの現代では、その人物は抵抗する気を見せた瞬間に裁判なしの処刑が義務となっていた。
「睡眠ガスは抜いたな?では、三、二、一」
タイミングを計り、扉のキーが解除される。
そして、部屋に入ったと同時。
黒き人体は、牙を剥いた。
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