第2話

「フワリ無事か?」


 何気なく開いたスマホに友人の桜井サクライ抹也マツヤから連絡が、入っていた。


 それにしても、なんとなく外が騒がしい。今日は、この辺りのお祭りかも知れない。後で、様子を見に行こう。


「もちろん。どうかした?」


 のんびりと僕が送信ボタンをプニッとすると、すぐに返信が来た。


「テレビを見ろ。すぐにそちらへ向かう」


 テレビのスイッチを入れる。


 各地で、暴動が起きていた。


 人々が騒いでいる。とにかくお祭りでは、無かったらしい。


 コンビニやドラッグストアが襲われている映像が流れている。店長は、大丈夫かな?


「無事だったか」


 抹也が、部屋に転がる様に入ってきた。


「鍵くらいかけとけ。それよりたいへんな事になったな」


 この友人、抹也マツヤは、幼馴染みで、大学まで一緒という腐れ縁だ。全てにおいて、のんびりしている僕に、何かと構ってくる。



 確かに、ニュースで見ている限り、暴動は拡大、この辺りのコンビニ、ドラッグストア、スーパーは、軒並み襲われて、各地に被害が広がっていくのは、時間の問題だ。


「確かに、緑のタヌキは、美味しいからね」


 僕のひと言に、友人が、呆れたように僕を見た。


「今回は、あん子ちゃんの不用意発言だろう」


「そうなのか?」


「まったくお前は、のんびりしているな。それより何処かへ避難しないと、やばいだろう」


 友人は、大きなカバンを持っていた。


「何処へ。この騒ぎが続くなら、これから地方へ伸びていく。既に襲われたここは、コンビニやドラッグストアが全滅。もう襲うところが無いよ。ここの方が、安全。それに収束するなら、そもそも逃げる必要がない」


 スマホが、振動してた。バイト先からだ。今日は、予定がないはず。どうやらお小言らしい。

 やはり、逃げれば良かったか?




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