トヨタ・ルーミー

ルーミーは、ダイハツからのOEM車で、ダイハツではトール、スバルではジャスティの名で販売されているハイト系のコンパクトカーです(トヨタ系列の取り扱い車種がチャンネルごとに異なっていた頃は、タンクという姉妹車もあった)。2021年度は普通車販売台数2位、もはや街中で見ない日がないくらいの人気車種ですね。


さて、今回、レンタカーとして借りたルーミーは、以下のスペックです。


パワートレイン:1.0L、直3NA

馬力・トルク:69ps/6000rpm、9.4kg・m(141N・m)/4400rpm

駆動方式:FF

トランスミッション:CVT

サイズ・重量:3700× 1670× 1735mm、1070kg

最小回転半径:4.6m

燃費:24.6km/L(JC08モード)


常時5人乗車、暖房は弱く入れていた状態で乗ってみての印象です。


まず、思っていた以上に車内が広い。ハイト系のクルマなので当然といえば当然なのですが、後部座席の膝元、頭上空間はミニバン並みにゆとりがありました。よこ幅は流石に3人並ぶとやや窮屈そうでした(私は運転席にしか座っていない)が、2人までならかなりゆったりと座れるくらいのスペースがありました。トランクも奥行きはヤリスやヴィッツと大差ないと思いますが、高さがあるので荷物が入らないことで苦労することはないでしょう。後部座席に人を載せて、かつ荷物を積みたい方には使い勝手は良いクルマだと思います。

また、箱型なので車両感覚が掴みやすく、またピラーも立っているおかげで斜め前方の死角も小さめ、さらに小回りも利くという、運転しやすいクルマでした。私が普段乗っているヴィッツに比べて着座位置は高く(当たり前)、初代のシエンタに近い感覚でした。室内の広さと運転のしやすさ、ハイト系のコンパクトカーのストロングポイントはしっかり抑えてある車種だと思います。

エンジン自体はややパワー不足感があり、高速域ではある程度高回転まで回さないと失速しそうな場面がありましたが、「POWER」モードではなかなか力強さを見せてくれ、登板路でももたつく様なことはありませんでした(トルクが太くなるというか、高回転まで一気に回るようになる。詳しくは分かりませんが、制御の仕方が変わるっぽい)。1000ccのハイトワゴンなのでもっとパワー不足を感じるかと思っていましたが、思っていたよりは軽快でした。今回乗ったのはNAでしたが、ターボモデルならパワー不足とさえ感じないかもしれません。ただし、これはもうハイト系の宿命ですが、横風の影響はかなり強く受け、高速でトラックてすれ違う際には結構ハンドルをとられました。また、重心が高いためかカーブでの姿勢変化はかなり大きく、いつも以上に気を遣わないと、同乗者を酔わせてしまいそうでした。街中メインで走るのであれば問題ないでしょう。ブレーキの利きは、同じトヨタブランドのヴィッツやヤリスハイブリッドに比べて甘く感じましたが、それを踏まえて運転すれば問題ないレベルです。また、個人的にはアイドリングストップが邪魔に感じました(ルーミー云々ではなく、私がアイドリングストップ車に乗ったことが無いのが理由かもしれません)。いわゆる「カックンブレーキ」にならないように停止直前にブレーキを緩めると、その途端にエンジンが始動して車が前に進もうとしてしまうのです。これはアイドリングストップ車あるあるなのでしょうか……? 乗っていてストレスに感じてしまい、アイドリングストップ機能は基本的にオフにしました。

操作面に関しても、不満に感じた点が1つありました。それはギア操作に関してで、慣れてしまえば問題ないのかもしれません。ルーミーのギアはパネルシフトで、ギアの横にあるボタンを押しながら上下に動かすタイプなのですが、若干動きが渋く(=少し力を入れないと操作できない)、走行中にシフトチェンジし辛く感じました。また、力を入れて操作した際に、狙ったギアの隣に入ることもありました。操作に関しては他に大きな不満はありませんでしたが、ギアだけは何とかならないかなと思いました(たとえば、初代シエンタのようにジグザグにするなど)。ただし、エンジンブレーキが2段階用意されているのは嬉しいポイントです。

燃費は市街地〜幹線道路〜高速道路を、それぞれほぼ同じくらいの距離を常時5名乗車で走行して15〜16.0km/L程度。JC08モード値と開きはありますが、特に燃費を気にして運転していた訳ではなかったことと、5人乗っていたことを考えれば、及第点と言って良いでしょう。


ルーミーというクルマは、乗り手が何を求めるのかによって評価が分かれそうだなと感じました。走りを求める方には、酷評されそうな気がします。しかし、荷物と人を運ぶ、足車として使う、広いコンパクトカーが欲しい、という方には合うでしょう。どんな車にも当てはまることですが、何をこのクルマに求めるか、が評価を大きく分けると思います。

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