第41話「ヘンゲ」

テン視点--------



ずっとオーグンに隠していることがある

ゴブリンの里の後でオーグンを慰めてたのは

変身したおいらなんだと


オーグンは怒るかな…

心の弱いオーグンの事だ

また、落ち込むことがあるのだろう

あの姿はその時使おうと思っていたけれど

いつか打ち明けなきゃ


打ち明けなきゃと思っていた


でも打ち明けられなかった

機会が無かったというのは言い訳だが


道中がとても楽しかったからだ

この場所を失いたくない

オーグン達を失いたくない


色々なところを旅して

今まで味わったことのない

生きる楽しみみたいなのを味わえた


それもこれもそらの事を

打ち明けることが出来たからだろう

おいらの過去を受け入れてくれる

オーグン達を大事にしたい


鎧の兵士に御子

その他にもオーグンですら敵わない強者達


そして良い子なんだけど

男の自信をボキボキ折ってくる

ウィンディとの出会い


またオーグンの心が折れるかもしれない


打ち明けたいけれど

打ち明けられないそんな日々


そして幾日が経っただろう…



オーグンの様子がおかしい

メルサと何かあったのだろうか


だがオーグンからは何も言ってこない…


今こそあの姿を使う時…


…でもおいらに打ち明けてくれないなんて

おいらは信用されていないのだろうか…


それもそうか…


おいら自身が隠していることがあるんだから


御子の「氣」とやら

おいらには特によく分かる


ずっと誰かの顔色をうかがってきたのだから

だからオーグンの気持ちも少なからず分かる


周りに嫌われたくないから隠してしまう…

おいら自身がそうなんだから…


と同時に友達と思っていた

オーグンに顔色をうかがわれる気持ちも…

オーグンも同じ気持ちなのだろうか…

いや、気付いていなくても

無意識には感じているのだろう


それこそ「氣」というやつなんだろう


別に何かあったかが問題じゃない

メルサといいオーグンといい

おいらの友達だ


友達が困っているのなら

せめて話し相手にはならなきゃならない


そして都合がいいかもしれないけど

オーグンに打ち明けよう


オーグンのためじゃない

おいら自身のためだ

自分が楽になりたいから

この状況を使う


それでいいのかもしれない

そうでもしなきゃ

おいらに打ち明ける勇気なんてないのだから


おいらはオーグンの部屋の前に行き

扉を叩いた



オーグンに話していると自然と涙が溢れてきた

オーグンも泣いていた


二人の間にあった事を気取らず話してくれた

オーグンとメルサの間にあった事


おいらからはなんとも言えないことだった

オーグンの気持ちもメルサの気持ちも分かる

二人とも友達だ


誰の味方って訳じゃない


心の奥底で

また笑いあえる日が来るといいな

と思っておく

それくらいは隠していていいよね


そしておいらがちゃんと

過去にけじめつけなきゃならない

おいらの推測が間違っていなかったら

あの森中にポツンとあったクーのアジト…


あいつを倒さなきゃならない…


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