第24話「こいがたき」



妖精王は一通りはしゃいだ後疲れて眠くなったのだろう


突然帰っていった




久々に一人になった気がする


多少の安心材料もあった




ゆっくり休もう




と思ったらバサッと外で音がした


居留守を使っても良かったが


俺も居候させてもらっている身




外に出ていくと火の鳥が明後日の方向を見て佇んでいた




別に怒りや恨みみたいな表情ではない


いや、むしろ構ってほしそうな雰囲気を醸し出している




俺は空気を読み火の鳥が佇む近く


同じ方向を見て座った




「………」


火の鳥はしばらく黙っている




ここのやつらは『皆』寂しがりやなのか…?




「オーガよ…我は…」


そう思っていたら口を開きだす


「我は調停者など大層なものではない…


ここより遠く北に住む


普通の不死鳥族だ…」


俺は黙って聞く


それが客としての振舞いなのだと思った




「驚くでないぞ…


王は口を閉ざしていたが我らはオーガの事を多少知っている」


「俺のじいちゃん…オーガスタの事だろう」


「ななななんと! そなたの祖父であったか!


それは驚いた! 驚いた! はっはは


っと驚かすつもりが逆に驚かせられてしまったな」




初対面の時とは違う


やはり調停者として振舞っていたのだろう


こっちの方が気が楽だが




「イルスとウィンザードから聞いていたからな」


「なんとまぁ…」


話を噛みしめ黙った


最近会う奴会う奴知り合い同士だな


そこまで懐かしむならじいちゃんと違いお互い生きているし


大して距離も無いのだから会いに行ったら良いのに




鳥は再び黙りこくり


話が途切れた


郷愁に深けているのだろうが




気を使ったわけではなく


俺からも別に話すことはなかった




無言


気まずくはないが奇妙な時間が流れる






「……我らは恋敵だった…」


突然ありえない角度からの言葉に


俺のほほに当てていた手がズルっと落ちる




「はぁ?」




「突如魔族側に単身乗り込んできた


凛々しく、美しく、か弱いながらも強い信念を持つ


ウィンザードに我らは惚れたんだ




そしてウィンザードが選んだのが妖精王


他の魔族は大人しく引き下がった




我はウィンザードが忘れられず人間と子を作った


ウィンザードを皮切りに他種族婚が流行った




が生まれる子生まれる子が奇形児だった




奇形…そりゃあ見た目が違う者同士が交わるのだ


見た目が我らと違うのは当たり前だろう




我らは奇形児に恐れを抱いた


自分の子にだ…」




俺は鳥の顔が見れなかった…




後悔いや、それ以上の感情が鳥の声だけから伝わってくる




「そうしてそこら中に奇形児の捨て子があふれ返った


捨て子は生きる術も力も無く大多数が死に絶えた




魔族達はそれが当然だと思っていた


生きる力、生きるべきものが生き


死ぬべきものは死ぬそうゆう考えだからだ




しかしウィンザードは違った




彼女は白い目で見られている奇形児を集め保護した


そして自分の責任なんだと思い詰めるようになった




我らを遠ざけ、夫を遠ざけ


歴史を知るごとに人間を滅ぼす決意を固めていった




我らが出来たのはせめてこれ以上奇形児を増やさぬように不干渉の契りを作ることと


調停者としてお互いの世界を住み分かつ事


だが今となっては、出来る事なら…


オーグン お主等の行く末を見届けさせてもらう」


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