第23話 「同志」

妖精の国?はなんとも平和だった

国というよりは大森林と泉

そこらじゅうで小さな妖精たちが交流している

彼らがどのようにコミュニケーションを取っているのか分からないが


俺でも分かる

神秘的という言葉が相応しい


家は使わせてもらっている木造の家が数件のみ


言葉を扱えるのは王と呼ばれていた彼だけなのだろう

いや、彼も発音している感じではなかった

直接頭に言葉が響いてきた

そうゆう力もあるのだろう


最近色々な奴と出会い過ぎてちょっとやそっとじゃ驚かなくなっているな



さて、これからどうするか…

二人が目覚めない事には動こうにも動けないが

俺もこの部屋で寝てばかりいては時間の無駄だ


「やぁお馬鹿さん ご機嫌如何だにょん?」


妖精王はぶんといきなりまた目の前にいきなり現れた

「なんだ?さっき別れたばっかりだろう

妖精族ってのは寂しがりやなのか?」


「ささ寂しがりやなんかじゃないにょん」


「じゃあお前が隠してるもの教えてくれるのか」

「ななにも隠してなんかないにゃ…あ」

分かりやすすぎる…

一体何を隠しているのか知らないがどうせ大したことないのだろう

おそらく俺のじいちゃんを知っているくらいのことだろう


「はぁ…何しに来たんだ」

「お前失礼だにょ

お悩み沢山そうだったから賢い私が聞いてやろうとしたのだにょん」

俺は馬鹿なのは自覚しているが

それでも俺の悩みをこいつに話したところで何も解決になるとは思わない

とはいっても二人が目を覚ますまでは時間を持て余す

一人で考えてもたかが知れている

何か打開策があるのなら棚から牡丹餅程度の期待で聞いてみるか


「悩みねぇ…

確かに悩み沢山だが…


…人間と悪魔の戦争を止めてくれねぇのか」


「無理だにょ

妖精族はか弱いにょ」

まあ、想定はしていた


「じゃあ多種族交流出来るように…」

「無理だにょ

人の感情は操れないにょ」

分かってはいたけど流石に食い気味で断られるとむかつくな


「なんだよ やっぱりなんも出来ねぇじゃねぇか」


「お前はバカだにょ お前ら自身の問題をわしに押し付けるなにょ」

…確かに的を得ているが

出来ない言い訳にしか聞こえないのはなぜだろか…


「けっ じゃあ人間の国へ今送ってくれって言っても無理って言うんだろ?」

「なんだそんなことお安い御用だにょ」


…は?

今何て言った?


妖精王は俺にしっぽをチョンとつけた

「ま、待て!」

と、言って間も無く


俺の感覚で一番最初に異変を感じ取ったのは触覚だった

俺は暖かい湯に浸かっていた


続いて視覚


周りを見渡すと女、女

人間の女が裸!?


そして聴覚


「きやぁぁあああああ」

可愛い人間の女の子達の悲鳴…

そそる声…


人間の女が桶やせっけんやらそこらにあるものすべてを投げてきた


俺は自分の身を庇った

ものすごい殺気…


何とか目に焼き付けたいが

目こそ身体の急所…

目を開くことは叶わなかった


しばらくすると身体が寒い

湯冷めの感覚

女からの攻撃がやんでいた


俺は恐る恐る目をあけると目の前には妖精のクソジジイが居た

妖精の国に戻ってきていた


「お前『待て』と言ったかにょ?」

「あ、ああ、ああ、ああ……言った!

他の二人を置いて行けるかぁ!

てか、あそこはなんだ?」


「あそこは人間の国の湯浴み場だにょおーん

お前…

好きだろにょーん」


こいつ…

目が無くても分かる…

絶対いやらしい目をしている


す、好きだ

そりゃあ好きだ!


だが、こいつも俺と同じ感性なのか…?

もしや、メルサの服を脱がせたのもそうゆう理由なのか…?

くそ! 妖精族は反応が身体に出ないのが 羨ましい…!


待てよ…

重要なことはそれではなかった気がする…


普通だった…!

人間は普通の状態だった


ってことは悪魔軍が侵攻していないのか

もしくはウィルが間に合ったのか


だが、それを知れただけで過剰に焦る必要はなくなった

そして、二人が目を覚ましてからこのジジイの力で送ってもらえれば

遅れるなんてことはないはずだ


安心したら先ほどの光景を目に焼き付けれなかったことを悔やんだ


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