8-4



 背の高い少女が、やや前屈みになって黄色いワンピースの子に耳打ちをする。


「ねえねえ、栞。これってやばいんじゃないの?」

「ん~~~。たっくん、人には見えんもんが見えるお人やしなぁ。きっと考えがあるんよぉ~」

「や、でもさ、相手、あの、西守でしょ? 絶対やばいって!」

「ん~~。でもなぁ。今日は、氷水いらないからって言われてたんよ~」


 栞は、クーらボックスを揺らして中身が空っぽである事をアピールする。


「はぁ? じゃ、なに!? 今日は釣りするつもりじゃなかったってこと!?」

「ん~~~~。なんとなくなんやけんどぉ~。うちには、大物針にかけとるように見えるやけどなぁ」


 栞の視線は少年の背中に書かれた一本釣りをとらえていた。

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