6-4
「ん~~~~」
龍好は、腕を組んで悩んでいた。
すでにブルークリスタルを始める準備は、整っている。
銀髪という縛りにもきちんと対応してキャラメイキングも終えている。
長めの前髪は、左目を隠していて、赤い右目を強調していた。
後は、名前を入力することだけだった。
「うちは、笑える名前が、ええと思う!」
「そうは、言ってもなぁ……」
正直、龍好は、ネタに走りたくはなかった。
特に慎吾が、白銀の騎士なんて言うカッコいい名前で登録しているからなおさらだった。
しかし、指定された時間はせまってくる。
しかも、名前に銀を入れなければいけないと言う縛りが面倒だった。
時間を気にしながら置時計を見て気が付く。
これならば、多少ネタに走った感もあるし。
それほど、悪くないんじゃないかと――
「じゃぁ、銀時計で入力してみる」
「名前、かぶってなければえぇなぁ」
「そ、そうだな……」
一番最初に、思いついた名前。
銀龍は、すでに別の誰かさんが登録済みで使えなかったのだ。
「じゃぁいってみる!」
他のだれにも使われていなかったらしく、銀時計と言う名で龍好はプレイすることになった。
ブルークリスタルの世界に生まれた銀時計を見て栞がつぶやく。
「しるばーくろっくないつって。なんか、かっこえぇなぁ」
「言われて、見ると、そんなに悪くないかもな」
「にしても、きれーやなぁ」
グラフィックの綺麗さに栞が目を輝かせている。
「まぁ、父さん達が本気で作ってるゲームだからな」
本音で言ったら、こんなゲームなんか作ってないでたまには帰って来いと言ってやりたいところだったが……
今、帰って来られると栞の立場が微妙になりそうな気がする。
せっかく刹風の母さんとも上手くやってくれてるのに変な形で横槍が入るのも、なんか嫌だった。
「そうだったんやねぇ……」
栞は、少し複雑そうな顔をしていた。
龍好の両親が帰ってこない理由を、少なからず聞いていたからだ。
そして――
チュートリアルを終えた龍好が指定された場所に行くと……
銀龍と言う名前のプレイヤーが居た。
「って! 同じギルドメンバーになるんかよ!」
「あやや、面白い偶然もあるもんやねぇ」
他のメンバーの名前は――
白銀の騎士。
銀盤の音姫。
月の銀水晶。
双翼の銀狼。
極上銀貨。
それらのメンバーを元に銀十字騎士団と言うギルドが結成されたのである。
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