6-2
それは、栞が龍好達のクラスメイトになって三日目――
給食の時間に始まった。
「いい加減にしろ!
龍好は、暑さで友人の名前も分らなくなった可哀想なヤツに言ってやる。
「はぁ。お前、暑さで脳ミソ溶けたんか?」
「誰のせいだと思ってんだよ!」
「はい、たっくん。あ~~ん」
「あ~ん もぐもぐ……ごっくん」
「美味しいぃ?」
「ああ。夏のせいだろ?」
肯定は、食事を提供してくれている女の子に。
どうでもいい事は友人に対して涼やかに返してやる。
「っざけんじゃねー! どー見たって、てめーのせーじゃねぇーか!」
「はい。たっくん牛乳~」
「ああ。ちゅるちゅるちゅる……ごっくん。ふぅ~、暑いのは、お前だろ? ただでさえ暑いんだから少しは我慢しろよな」
「はい。たっくん あ~ん」
「あーん。もぐもぐもぐ……ごっくん」
「この状況に三日も耐えた賢者に対してふざけたこと言ってんじゃねぇー!!」
「はい。たっくん、あ~~ん」
「あ~ん。もぐもぐもぐ……ごっくん」
「美味しぃい?」
「いや、ほうれん草は苦手なんだって」
「アレルギーなら、しゃーないけんど。好き嫌いは、よくないよぉ~」
「いいか! てめーのせいで、隣の
「はい。たっくん。あ~ん」
「あ~ん。もぐもぐもぐ……ごっくん。それは、きちんとエアコン使わなかったからだろ?」
「なにバカ言ってやがる、
「はい。たっくん。あ~~~ん」
「あ~~ん。もぐもぐもぐ……ごっくん」
「ど、……どうぅかなぁ?」
栞は、卵焼きの感想をドキドキしながら待っている。
「あぁ。ちょっと焦げてるが味は悪くない」
「ほんまにぃ。うち、初めて作ったからぁ。不安やったんよぉ」
「まぁ、初めてにしちゃ上出来だろ。それから慎吾。いい加減給食中は静かに食えよな」
「ざけんじゃねぇ! てめーのそれは、給食中じゃなくて給食ちゅーじゃねーか!」
栞と龍好は、同じ箸を使って食べているのだから関節キスである。
「あやぁ~。カエシンくん上手いこというなぁ」
「そう、実はさ、三日間あたためてたネタなんだよ」
慎吾は頬を染め照れ隠しに頭をかいている。
はっきりって不気味。
やめほしい。
「じゃなくて! なんで、新婚夫婦がいちゃいちゃしてるの見ながらメシ食わなくちゃなんねーんだよ!?」
「ちったー嫁さんに逃げられた小林先生の事も考えろよな!?」
小林先生が、とてもとてもつらそうな顔で箸を止めていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます