放浪する銀時計

6-1


 栞が龍好達のクラスの仲間入りをすることになった。


 そこで、自己紹介がてらネタを披露する栞。


「うちは芒原 栞! 自称たっくんの嫁や!」


 きゃーとか、おーとか、クラスが盛り上がる中――

 それに負けずと立ち上がった者が居た。


「ふっ、言うじゃねーか! 俺は、蚊取りしんご! 夏には欠かせねー男だ!」

「ふっ三流芸人にしてはやるやないけ!」


 三流と言われてカチンときた慎吾しんご

 大抵の嫌味なんて笑ってリアクションとってきた慎吾でも怒りにフタをしきれないまま声を荒げた。


「そーゆーてめーは、どれほどのもんだって言うんだよ!」


 栞は、両手を胸で組んでふんぞり返る!

 そして、上から目線でモノ言い放つ!


「うちは四流芸人や!」

「劣るんかよ!」

「ぷっ、アハハハハハ……」


 破壊神が来ると知って怯えていた連中までもが、腹を抱えて笑っていた。

 慎吾のナイスタイミングでの強烈なツッコミにクラスの連中が笑っている。

 それらの中には、慎吾がいくらネタをふってもクスリとすらしなかったヤツも居た。

 慎吾はくやしがると同時に――栞をライバルと認めたのであった。

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