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「やってくれたわね……」


 先ず、目に入ったのは金属。

 丸い輪っかが二つあり、それを鎖が繋いでいた。

 使用目的としてもっとも一般的なものは罪人が逃亡しないために拘束するためのモノである。

 次に、目に付いたのは、獣耳と首輪だった。

 サイズからすると、おそらく人間用だろう。

 センターに着けられた鈴が愛らしい。

 獣耳は、ウサギ、ネコ、キツネと思われる三種類。

 使用目的は、知りたくもない。

 その下でぬらりと光る革製品は、ボディースーツだった。

 ご丁寧に蝶々みたいなマスクと重たい鞭までセットになっている。

 それらを取り出すとようやく着れそうな服が顔を出す。


 薄く淡いラベンダー色したワンピース?


 それは、月光すら遮ることも出来ずに肌を浮かび上がらせる事だろう。

 実に心許ない薄さと軽さだった。

 唯一許容できるのはセットで添えられていた同色の水玉模様の下着くらいなもの。

 なのだが――なぜか、両端が紐で縛って留めてあり。

 どこかに引っ搔けでもしたら事である。

 コレを身に付けるのには、相当の覚悟がいるだろう。

 それら似たようなモノが、赤、オレンジ、イエロー、ブラックと続き。

 そのどれもが隠す気があるのは胸元までで、そこから太ももの辺りまで左右に大きく分かれていた。

 どう考えても町を歩くために着るものではなく、男性をその気にさせるためのモノだった。

 そして……最下層からようやく西守学園の制服が顔を出した。

 いったいいつの間の用意したのやら……

 いつも着ているモノだった。

 折りたたまれた上に無駄なおもりを乗せられていたからといって、この制服にしわが付くことは無いが。


(どうして一番下なのよ!?) 


 と後で、文句を言いたい。

 しかし、


『それは、お嬢様が直ぐにバックをあけてお召し替えなさらなかったからですよ~~~』


 演技がかった口調で、よよよと泣き真似を披露するための前フリにしか思えなかった。


「はぁ~」


 みらいはこの上なく重いため息を吐いてから、制服で身を包み。

 それら危険物が栞と龍好の目に入らないうちにバックに押し込んだ。



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