3-40

 地面が融解した中――


 ゆっくりと歩む者が居た。

 栞である。

 武器どころか、地面ごと吹き飛んだと言うのに熱くもなければ痛くもない。

 周りを見る限り大惨事にしか見えないのに……


「これ、どないなっとるんやろう?」


 技を成功させた者に対する恩恵。

 これも、ゲームならではのシステム。

 自分の技で自滅しないための保護システムが起動しているから栞は、周りの影響を全く受けないのである。

 しかし、そんなこと分かるはずもなく栞は歩いて扉の方へ向かうと……

 途中に大きな宝箱が落ちていた。

 ドロップアイテムである。


「これ、うちがもらってもええんかなぁ……」


 しばし考えてみるも、生き残ったのは自分だけ。

 自分以外に開ける者はいないのだった。


 そして、初めて手にする宝箱の中身は!


 装飾された巨大な白いハンマーだった!


「詩音ちゃんの武器やん!」


 詳細を確認して見ると、プラスされる攻撃力はゼロ。

 しかし、特記事項に破壊不能アイテムと書かれていた。

 まるで、栞のために用意された武器である。

 そのハンマーを掲げて栞は叫ぶ。


「せっちゃん! みらいちゃん! うち、敵とったで~!」


 そして、武器をしまい。

 開き戸に手をかけると――

 あれほど力いっぱい開こうとしても開かなかった扉が簡単に開いたのだった。


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