3-40
地面が融解した中――
ゆっくりと歩む者が居た。
栞である。
武器どころか、地面ごと吹き飛んだと言うのに熱くもなければ痛くもない。
周りを見る限り大惨事にしか見えないのに……
「これ、どないなっとるんやろう?」
技を成功させた者に対する恩恵。
これも、ゲームならではのシステム。
自分の技で自滅しないための保護システムが起動しているから栞は、周りの影響を全く受けないのである。
しかし、そんなこと分かるはずもなく栞は歩いて扉の方へ向かうと……
途中に大きな宝箱が落ちていた。
ドロップアイテムである。
「これ、うちがもらってもええんかなぁ……」
しばし考えてみるも、生き残ったのは自分だけ。
自分以外に開ける者はいないのだった。
そして、初めて手にする宝箱の中身は!
装飾された巨大な白いハンマーだった!
「詩音ちゃんの武器やん!」
詳細を確認して見ると、プラスされる攻撃力はゼロ。
しかし、特記事項に破壊不能アイテムと書かれていた。
まるで、栞のために用意された武器である。
そのハンマーを掲げて栞は叫ぶ。
「せっちゃん! みらいちゃん! うち、敵とったで~!」
そして、武器をしまい。
開き戸に手をかけると――
あれほど力いっぱい開こうとしても開かなかった扉が簡単に開いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます