3-36

 ここではない他の――忘れ去られたサーバー。

 そこは、深く広大な森の一画。

 巨大なエメラルドの塊の中で息づく大きなモノだけが動くことを許された世界。

 それは大切な卵を抱く様にして永き時を眠って過ごしていた。

 長く美しい鴬色うぐいすいろの体毛。

 その背には輝きを失った七枚の透明に近い翼。


 ――突然!


 それは、ナニかを感じとったかの様に瞼を開く!

 瞳孔のない薄翠色の瞳には!

 何かをなそうとする力強さが宿っていた。

 ゆっくりと口を開いて奇声を発する!


「キュイ――!」


 ――そして!


 ――何かを飲み込んだ。

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