3-30
黒いチビが発した、たった3文字で獲物は逃げてしまっていた。
「おいおい、あのレベルでストーンゴーレムとかありえないだろ」
「あはは、まぁヤケになっちまったんじねぇの」
岩に腰掛けたままの男達があざ笑うと――それを、金髪が一括。
「いや、悪くない選択だ!」
真っ先に危機を察知して行動した魔法使い系。
その見切りの良さからこの一手は想定していた。
幼稚な見た目に反して、指揮系統を司るリーダーだと判断して間違いないだろう。
ヤツに嫌われるのは想定内。
むしろ、あの流れなら今頃ケンカに発展してくれてるだろう。
次に彼女と逢う時が楽しみだった。
「なんでっすか?」
「そうか、お前達は、まだココに入った事なかったか」
ストーンゴーレムが描かれた山吹色の看板を見上げる。
「あ! 俺は知ってます!」
背の低い丸顔がしたり顔で軽く手をあげる。
「よし! じゃあ言ってみろ!」
「はい! 普通は、外れ扱いになると思うんですけど。確か4分1の確率でボスどころかザコにすら会えずに出口に出ちまうっていうヤツですよね!」
「そうだ。実際には、3分の1ぐらいらしいがな」
金髪は、にやりとして威勢良く声を張り上げる!
「よし、プランDに変更! 俺は、予定変更と追加の金について話してくる! そっちは外れの方の出口付近で待機しててくれ!」
「了解!」
五人の声は見事に重なる。
今後の展開次第では上玉が味わえるからだった。
先ずはリーダーが満足するまで楽しみ。
その後は5人で好きにする。
それがいつもの流れだった。
リーダーに手痛く捨てられたショックを和らげるふりして遊ぶもよし。
拒めば力づくで物にするもよし。
もう、何度となく味わってきた悦楽が彼らをソノ気にさせていた。
社会のルールに反してもリトライのルールには反していない。
ゆえに、この手の外道はあちらこちらにはびこっていた。
こうして獲物を罠にはめてはテゴメニする。
彼らが考えている事なんて次は誰から楽しむか。
ただ、それだけだった――
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