3-26


 みらいの、魔法改良は3日目に突入していた。

 一朝一夕いっちょういっせきで、職人と呼ばれるレベルに到達するのは不可能に近い。

 ゆえに、相応の長い計算式を求められる。

 材質から始まって、エンジンの仕組みを全て数値化して起動させる。

 それはまるで、ゲームのプログラムを1から作っているようなものだった。


 まぁ、ゲームの中の話なのだが……

 

 栞は、みらいに言われた通り、勉強を頑張っていて。

 刹風は、洋服の支払い分もあるから――と言う理由でアルバイトに行っている。

 栞から聞いた話によると、さっそく戦力として役立っているそうだ。

 基本的に、物覚えは良い方なのだから、勉強にももっと力を入れてほしいと思うみらいだった。





 ――今日の残り時間で何をするか?


 それを3人で話し合った際。


「帰りは、これで帰ってこれるんだから時間的には、余裕なんじゃないの?」


 刹風が、お気楽な言葉にと共に見せてきた、丸い魔石を見て――

 みらいは深いため息をこぼしながら説明を始めた。


「使ってもいいけど、私が居ない時にしてちょうだい。この回帰石は別名死の瞬間移動石と呼ばれていてね。物理的にA地点からB地点までを0.1秒で移動するアイテムなの。1メートル位ならさほど問題ないみたいなんだけど。100メートル1000メートル10000メートルと距離が伸びれば伸びるほど肉体が受けるダメージは大きくなるわ。内臓は潰れ、肉と皮は千切れ飛び。脳漿のうしょうが飛び出して、骨も砕け散る。それら全てを肉体的ダメージにしたら、使った瞬間に死んじゃうでしょ? そこで、それらの肉体ダメージを最小限にする代わりに精神的ダメージに上乗せするようになっているのよ」

「はやや~」

「はぁ、なにそれ」

「まぁ、あなた達は肉体強化型だし、案外耐えれるかもしれないけど。この発育不良の身体では即死レベルのダメージを受けても仕方ないわね。それに使った人の体験談では死ぬより辛いそうよ……」

「げ……」

「そんなら、これは禁じネタといて封印するよ~」

「そうしてもらえると私としては嬉しいわね」

「何度も使えるし。しかも、なくならない便利なアイテムがあるって分かった時は、ラッキーって思ったのに……そんな落ちがあったのね」

「運営が何を意図して全員に配っているのか不明だけど、危険なアイテムもあるって事だけは、知っておいてちょうだい」


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