3-20



 リトライ2日目――


 基本的にログアウトした場所からの再開となるため、図書館の前からのスタートになった。

 みらいは、黒い魔女服を身にまとっている。

 金糸での装飾が、あちらこちらにちりばめられ高級感を出していて。

 スカート部分は、膝上のミニスカートではなくロングスカートに変更。

 袖を広めにしてもらい。

 相手からは、手元が良く見えないようになっていた。

 これは、対人戦も考慮に入れた改造である。


 そして、ものすごいスピードで仮想キーボードをカタカタさせている。


 それを見た栞は、


「みらいちゃん。うちも勉強頑張るよ~!」 


 昨晩とうって変わってやる気を見せていて。

 刹風は、


「ねぇ、やっぱり、私も付き合わないとダメな流れ?」


 出来る事なら敵前逃亡したいと、うったえていた。


「そうね。基本的に半分近い4時間は、勉強の時間にしたいのだけれど。どうかしら?」


 意外なことに、みらいからまともな返答があった。


「げ……。そこまで勉強の時間とるの!?」

「嫌なら、逃げてもいいわよ」


 みらいの冷ややかな声に対し、刹風も同様の声色で返す。


「それって、もしかして、私に教えてる時間がもったいないとか思ってるってこと?」

「そう受け取りたいなら、それでもかまわないわよ……残念ではあるけれど……」


 相変わらずみらいの目は画面に釘付け。

 まるで、本当にどうでもいいみたいに見えてしまう。


「わかった、じゃぁめいっぱい邪魔してあげるから、栞!」

「はいな~!」

「受付で場所確保してもらってきて」

「了解や~!」


 栞の後に続いて刹風が歩み始めれば――みらいも、画面から目を放して図書館の中に入って行くのだった。

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