3-6
一行は、初心者用のチュートリアルを確認しながら試験会場におもむいた。
そこで発覚した事実。
職業によって身に付けられる装備。
この場合は服になるのだが。
それが、違うということだった。
別段、モンスターと闘わず町に居るだけなら問題はないが。
実際に戦闘をする事を前提とするならば、きちんとした装備を身につける必要があると言われたのだ。
適性検査は、持っているエッグを所定のプレートにかざすだけといった単純なものだったのに対し。
一般教養は、ネタを披露する隙間など
そもそもネタを書こうにも問題文の半分以上が栞と刹風にとっては意味不明だったのだから。
当然、刹風は不満をもらす。
「だいたい、問題文が英語とかありえないでしょ!?」
「あと、どこの国の言葉か分からんもんもあったよ~」
みらいは試験終了後もずっとチュートリアル画面から目を離さずに知識を叩き込みながら言う。
「五ヶ国語は、しっかり
「って、ゆーかさ! 何で日本語の問題が半分しかないのよ!?」
「あんなん、問題ゆうより、クイズみたいなもんやん……」
「あら、正解よ!」
「ほえ!? うち正解なん!」
「ええ、栞の言ったとおり。あれはクイズだったわ」
「って、ゆーか、みらいあれ読めたの!?」
「当然でしょ! 末端とはいえ一応、私も西守の一人なのよ。英才教育受けてるの忘れたの?」
「いや、それは分ってるけど……」
「なぁ、みらいちゃん。ちなみに英語の問題は、なんて書いてあったん?」
「ん~、英語の問題は、全部で5問だったわね。問い①、太陽が沈むのは南である。問い②、月は地球よりも大きい。問い③、季節の春とは、春巻きの親戚である。問い④、このゲームのタイトルはリクエストである。問い⑤、あなたは、英語が読める。全て○×形式の問題で、問い①から④は×が正解。きっと問い⑤はサービス問題で○でも×でも書いてあれば点数もらえるんじゃないかしら」
「あかん! あかんよ! うちネタ振られとるんに気付けんかった~!」
栞は、頭を抱えてうずくまった。
「あはは。確かに、そんな問題文だったらネタで返しても文句言われなかったかもね」
刹風は、笑う。
「まぁ、気にする事はないわ。あれって予行練習みたいなものだったみたいだから」
「予行練習って、ネタの?」
「もしかして! これからのお笑いは、いんたーなしょなるやないとダメやってゆーテストやったん!?」
「そうじゃ、ないわ。テストは毎月受けられるから、慣れていけばそれなりに高得点を得られるんじゃないかしら」
「なるほどねぇ~、でもさぁ。そんな余裕ないと思うけど……」
「そやね~、うちやったら考えてる間に敵倒しまくった方が早い気がするし~」
「レベルは1~3まであって、レベル1はさっき言ったネタみたいな問題だから案外楽勝なんじゃないかしら」
「でも、うち英語なんて読めへんよ~」
「あれは、あくまでボーナス問題だったからで、どちらかと言うと運試しみたいなものじゃない」
「そうなんや~、それなら安心してネタふれるなぁ~」
「いや! ってゆーか! ボーナス問題ってなに!?」
「私は、全問正解のスペシャルボーナスしか分らないけど、どうやら正解するとステータスにオマケがもらえたみたいなのよ」
「ほえ~、そーゆーことは、はよー言ってほしかったなぁ」
「栞、あんたは言われてても突っ込めなかったでしょうが」
「それは、せっちゃんかて同じやん!」
「まぁ、そうだけどさっ、てゆーかみらい! あんた、全問正解したの!?」
「したわよ、……ほら」
半透明の画面上。
上の方に、みらいの名前があった。
「ほえ~。本日の知識ランキング部門第1位。みらいってなっとるよ~」
「で、詳細がこれ……」
みらいが自分の名前の所をタップすると詳細が表示される。
「げ、5月振りに全問正解者現るって書いてあるじゃない!」
「どうやら、なんらかの結果を残すと、こうして表彰されるみたいね」
「ほえ~。やっぱり、みらいちゃんはすごいんやね~」
「英才教育を受けてればこんなものでしょ。実際に問題が読めれば刹風にしろ栞にしろ簡単な問題ばっかりだったと思うし」
「や、だからって、なんで、こっちに来てまで勉強の話しなくちゃいけないのよ!」
「せやな、せっちゃんの言うとおりや! うちも、勉強の話するより、ゲームのほう、進めるんがいいと思う!」
「はぁ~……」
二人の勉強嫌いが少しでも改善されれば、いいのになぁと思っていたみらいは、ため息を吐きながら、
「じゃぁ、職業決めに行きましょうか」
画面の案内にしたがって、職業案内所へ足を向けたのだった。
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