ロト777で777777777!③
目覚めてから自身に何か変化が起きている。 そう思ったのだ。 金が盗まれたのは寝ていた時だし、ジュースを落としたのもその前だ。
―――何か俺の運気が上がってきた気がするぞ!
―――普段はこんなにラッキーなことは続かないからな・・・。
ポケットの中には確かに5000円札が入っている。 相殺のような形であるが、普通は失ったものは戻ってこない。
―――このまま何かに挑戦してみるか?
―――もう一度会社を受けてみる?
そう思い家へ帰ろうと腰を上げたが思い留まった。
―――いや、待てよ。
―――会社の内定をもらうためだけに運気を使ってしまうのは勿体ない。
―――他に利益に繋がる使い方はないか?
そこで朝にハズレたロト777のことを思い出す。 運のよさが本当なら是非そちらに発揮してもらいたいところだ。
「・・・今の俺ならもしかして当たるんじゃ?」
そう思った時には既にソファーから立ち上がり歩き始めていた。
―――運気を試す絶好のチャンスじゃないか。
―――ただ運気の持続がどういう作用を及ぼすのか分からない。
―――今すぐに結果が分かるようにスクラッチでも買ってみよう。
ポケットのお札は5000円。 先程のジュースのお釣りも300円はある。
―――自分の金じゃないけど、まぁいいよな。
―――当たったら落とし主の人に倍にして返そう。
―――いや、三倍にしてもいい!
いつもお世話になっている宝くじ売り場へと向かう。 時刻は太陽の感じからして正午に近い。
―――スクラッチの一等は5000万円か・・・。
―――十分だな。
狙うは一等である。 しょぼい金額が当たったとしても、それは運がいいのか判断がつかない。 もちろん当たりを狙うことはできないが、そこは関係ないのだ。
「何枚買われますか?」
―――何枚にするか・・・。
―――たくさん買いたいところだけど、今は俺に本当に運が向いてきているのかを確かめたいだけからな。
「一枚で」
「かしこまりました」
300円を渡しスクラッチを受け取る。 先程ジュースを買ったお金の残りで早速削り始めた。
―――俺の運気の結果は・・・!?
ロト777のスクラッチは9個のマスがあり、7が刻まれている数に応じて当選金額が高くなるというもの。 全てに7という数字が刻まれていれば一等で5000万円となる。
スクラッチが当たるかどうかは、券を買った時には既に決まっているということだ。
―――7が並んだ光景なんて見たことがないからな・・・。
ナンバーズに比べると当選金額が少ないが、その分結果が早く分かり当たりやすいというのがある。
期待値は全て同じに設定されているというのが運営側の主張で、どれを選んでも損のないようになっているらしい。
―――さぁ、どうだ・・・ッ!?
期待を込めて一つずつゆっくり削っていく。 一つ目は“7”
「いきなり来た!」
九ヶ所のうち一ヶ所の7では購入額の半分。 つまり150円の当たりである。 ただそれでも全て0の方が多いため、7は希少なのだ。 ちなみに勝利のスクラッチの最高成績は7が4つで当選金3000円である。
二つ目も“7”
「うぉぉッ!?」
叫ぶと同時に周りからも声が上がった。 ただそれは勝利が7が当たったからではない。
「あぁ!? 今一枚当たっていただろ!! それがどうしてハズレに・・・ッ!?」
―――どんまいッ!
―――もしかして俺が幸運な分、他の人が不運になってんのか!?
その後も一つずつ丁寧に削っていき積み上げられていく“7”
―――これって、もしかして・・・。
勝利の最高成績である四ヶ所を超え、5つ目の7を当てた。 これで当選金は跳ね上がり二万円となった。 心臓がダンスを踊るように跳ね、時折周りから悲鳴のような声が響く。
―――すまん、みんな!
―――みんなの運を俺がもらっているのかもしれない!!
―――でも一ヶ所7が当たっても150円だけど、全て当たれば5000万なんだよ!
―――世の中の全ての7よ、俺のもとに集まれ・・・ッ!!
そして最後の一ヶ所が当たれば5000万。 ハズレても1000万のところまできていた。 どうやら運気の上昇は本物のようだ。
「来た来た来たーッ!!!」
7が当たる度にリアクションをしているからか、いつの間にか周りには人だかりができていた。
「アイツ8個も7が当たっているらしいぞ!?」
「マジで!? そんなに当たっている人初めて見たわ!!」
そんな彼らに向かって言う。
「みんな! 当たったらお裾分けするから応援してくれ!!」
「おぉッ!? もちろん応援するぞ!! あったっれ! あったっれ!!」
最後に残された銀を削る。 運命の瞬間だ。 観衆の緊張感も一挙に背負い丁寧にスクラッチを削る。 集中し周りの息を呑む音さえ聞こえてくる。 そして運命の時。
“7”
「来た・・・ッ! 来た来た来たぁぁぁぁ!! 全て7が揃ったぞぉぉぉぉ!!!」
「「「うぉぉぉぉぉぉッ!?!?」」」
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