メモリー 2 「舞子総合高等学校ハッキング事件」
昨日は、転校生の理花がネット探求部に入部してきたり、いつも通り一樹達に絡まれたり、色んな意味で色々あったなぁ~。俺みたいな人を苦労人っていうんだろうなぁ……そして、何やかんや昨日の朝と同じように片腕に、春奈を絡ませ俺は、一人心の中で呟いた。そして、後ろからお馴染みの………
「リア充爆発しろ!」
……?……………待て待て。落ち着こう。リア充?俺と春奈が?ご冗談………………………は?どうして、そうなった…………?
「一樹君?それって私達のこと?」
「そうだよ。お前ら、付き合ってるんだろ?」
「冗談はよせって………」
「その通りだよ。一樹君も知ったんだね。」
お~ま~え~?何言ってくれてるんだ?おい。俺、翌朝、水死体コースか?
こうして、何とか誤解は解けたものの、春奈の悪ノリ癖は、どうにかして欲しいものだ……一番悪いのは、誤解した一樹だが…………
こんな日常会話をしていると川の横道にさしかかった時、誰かに声をかけられた。
「お~い。皆~。」
転校生で、俺達と仲が良くなった、遠藤 理花である。
彼女は、通学途中で俺達と出会うと、嬉しそうに駆け寄ってきた。可愛いものだ………。春奈なんか、引っ付きすぎてそう思えないからな。そして、たわいもない会話を繰り広げながら、学校の教室の席についた。
キンコンカンコーン キンコンカンコーン
いつも通りのチャイム音が鳴り響いた。
ガララッ
相変わらずドアの開け方がきついな。
「お前ら、元気か~?私は、上機嫌だぞ!」
おい………いくらなんでもハイテンションすぎだろ………ほとんどのクラスメイトが、全力でひいてるよ…………
そう、今日は『リモート演習』の日だ。
リモート演習って何って思うだろ?説明するよ。
簡単に説明すると、ビデオ通話ってあるだろ?それを仕事に生かしたリモートワークのような環境での会議の練習だよ。
教育委員会によると、未来に対する教育だそうだ。正直、とても理に叶ってると思う。俺がそれを未来に望む一人だからな。
そして、一時間目から千夏先生がはりきりながら、黒板にパソコンの画面を写し、教室を去る。すると、黒板に千夏先生が写る。どうやら、演習の相手役は、千夏先生のようだ。千夏先生によると、これから、指名して話しかけるから、それに答えるらしい。いわゆる、最初は、遊びだな。しかし、ここで事件が起きた。いきなり、千夏先生の画面が消え、変な覆面姿の男が写り、話し始めた。
「俺は、この学校の校長に退学にされてから人生を狂わされた者だ。その見せしめに、少しずつ、お前らのパソコンを爆破していく。ハハ!せいぜい、苦しめ!」
いきなり、低音でそう話す男に学校がざわつき始める。
ガララッ!
いつもよりも慌てた様子で千夏先生が教室へと入ってきた。
「お前ら、この件は、この学校でパソコンに精通してる私が相手をする。お前らは、下校だ!」
そして、みんなが帰った。学校に残ったのは、千夏先生。そして、俺と春奈、一樹と理花だ。
「お前ら……もしかして、私と共にやってくれるのか?」
俺達は、なんやかんや千夏先生も仲間だと思っている。だからこそ、任せれなかった。覆面男が、『爆発』といった時点で、教師は先程、千夏先生に任せたと言って一目散に逃げた。校長もだ。こいつら、屑だな………。
「お前ら、餓鬼と女教師ごときに俺のパソコンをハッキングして止めれるなんて出来るわけねえだろ」
覆面男は、パソコン越しに、大笑いしてくる。くっそぉ………必ず、刑務所に送ってやる!
「これから、どうします?千夏先生?」
春奈が千夏先生に訪ねる。
「私が、こいつの爆発させようと送り込んでるハッキングシステムを逆ハッキングするために、タイピング勝負をしよう。」
タイピング勝負とは、キーボードで相手に対抗出来る決められた文字を早打ちする勝負である。しかし、今のところ、ほとんど互角だ。千夏先生は、全力なのに対し、相手は、笑いながらである。非常にまずい………恐らく、相手は、こちらのパソコンから潰しにかかってきてるだろう。その時だった…………
「代わってください!」
おいおい、春奈。どうするつもりだ?お前の相手しようと思ってるのは、見るからにネット中毒者だぞ?
「おいおい、次の相手は餓鬼か?俺、手を抜いちゃおうかなぁ~?」
しかし、覆面男の油断もそれまでだった。春奈が想像以上にやばかった。まるで、経験者のように慣れた手付きで覆面男のパソコンをハッキングし、舞子総合高等学校は、春奈によって救われたのだ……。これにはさすがの覆面男も、
「畜生!こんな餓鬼がいるなんて……お前、何者だ?」
「内緒…………」
と、春奈は、楽しそうに言った。しばらくして覆面男は、警察に取り押さえられた。何と、春奈は、覆面男のパソコンに発信機を送っていたのだ。こいつ………何者なんだ?
そして、この日は解散し、『舞子総合高等学校ハッキング事件』は、幕を閉じた。
俺はこの日決めた。明日から、春奈を調査すると。少し、怪しいからな。そして、明日からの調査に向けて、俺は眠りについたのだった…………
あの時、調査をしなければ良かったのに……………………そう後悔する日はそう遠くはなかった………
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