第2話 知りたかったよ。それが私の涙になっても。
ねぇ、ネリネ君、私があなたの秘密をいつ知っていれば、私たちはもっと近づけたんだろう?
もっともっと私はあなたを知りたかったし、もっともっとあなたに私を知って欲しかった。
目を閉じると、まだ浮かんでくるよ。色とりどりの花に、カメラを向けるネリネ君が。
そのファインダー越しにいたのが、花、だけではなくて、私がいたなんて…。
私は気づかなかった。
それを知るのが、あなたを失った後だっただなんて…。
あなたが、私の前に現れて、そしていなくなるまで、一年もなかったよね?
短すぎだよ…。
ネリネ君、この気持ち、どうすればこの心から追い出すことが出来るんだろう?
教えてよ…。
せめて、好きだって伝えたかった。すごく…すごく大好きだって。
このプレゼントが手元にあるうちは、あなたは私の中から消えてくれはしないんだろうな…。
絶対、消したりしないけど。
でも、ネリネ君も苦しかったよね?そう思うのは、私の驕りかな?
ネリネ君の言葉に代えて語るこの花々に、私は今も悔やみ続けてる。
どうして気付かなかったの?…と。
ネリネ君は、いつも私を見ていてくれていたのにね。
でもね、私だってネリネ君を見てたんだよ。
私はいつも臆病で、不器用で、引っ込み思案だった。だから、そんな事とても伝えられなかったけど。
あの日くれた四葉のクローバー。あの時、手だけ伸ばして私にくれた、後ろ姿で隠して、ネリネ君はどんな顔をしてたのかな?
もしかして、赤かった?頬は?少し熱くなってた?目はどうだった?何処を見つめて
いたの?くちびるは?恥ずかしそうに、きゅっと噛み締めてた?
そんな想像をするのは、ネリネ君がやっと四葉のクローバーの意味に気付いた時だったけれど。
逢いたかったな……、もう一度……。
『また会う日を楽しみに』
そう言ったのは、ネリネ君、あなただよ?
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