第4話 勝利とは、殆ど始末書モノの行為だと思う
3秒後、私が放った砲弾が命中した。重装型マーズラプターの頭部が吹き飛ばされ、赤い砂塵の中へと倒れていく。
二機のマーズイーグルがアサルトライフルの射撃を加えてくるものの、
「へへーん。このマルズバーン様を舐めんじゃないよ」
ビアンカの操縦で赤い大地を縦横無尽に走り回るマルズバーン。地上では不利と見たのか、二機のマーズイーグルは背のバーニアを吹かして飛び上がった。
「翠ちゃん、チャンスだ」
「わかってる」
すかさず対空誘導弾4発を発射する。もちろん回避されることは計算済みだ。その隙を逃さずに主砲を叩き込む。二機とも撃墜できた。
「ちょろいね。半グレごときがモビルフォース乗って粋がってんじゃないよ。まったく」
ビアンカ嬢はご立腹なようだ。もしかして、
「ところで乗ってた人、大丈夫かな。死んじゃってたら困る」
「上手くコクピットを外してたらから大丈夫。翠ちゃんは天才だよ」
何だかいいように乗せられた気がする。高価な人型機動兵器をぶっ壊したわけだから、始末書を何枚も書かされるはずだ。そっちの方が心配だった。
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