第3話 人型機動兵器との対決?

「ミニスター! ホバー走行準備」

「了解」

「対空兵装、および主砲発射準備」

「了解」

「何なに? どうなってるの?」

「ビアンカ、起きたのか?」

「いやいや、こんなアラーム鳴ってちゃ目が覚めるって」

「対戦車ミサイルが三発、低軌道で正面から」

「おおう、ヤバイじゃん」

「こっちも加速して一気に距離を詰める。全速を出せ!」

「了解」


 タービン音がさらに甲高い音質となった。そして車体がふわりと浮いた。


「行っけえ!」


 ビアンカが叫ぶのと同時に体がシートに押し付けられる。まるで航空機のような加速だった。


「速度80……100……120……140……」


 カウントしているのはAIのミニスターだ。戦車ってこんなにスピードが出たのか?


「200……220……240……限界速度です。ミサイル着弾まで15秒。接敵まで240秒」


 えっと、17キロメートルを4分で走破するのか? それよりも、ミサイル着弾だって?


「着弾迄12秒」


 非情なカウントが続く。


「ミサイル迎撃は翠ちゃんの仕事だよ」


 マジかよ。自動で迎撃してくれるんじゃないのか?

 ヘルメット内のARディスプレイにミサイルのマーカーが出て来た。その脇に、文字で操作方法が表示されている。


『瞬きを二回した後の眼球移動で目標をロックオンします。その後、瞬き二回で発射します』


 瞬き二回がスイッチオンって事か。


 私は瞬きを二回して三発のミサイルをロックオンし、そして瞬き二回でレーザーを発射した。オレンジ色の光の束が正面の空間を切り裂き、その向こうでミサイルが爆発した。


 正面に湧き上がる爆炎の中を駆逐戦車が突き抜けていく。その後、遠方に目標を視認した。距離は12000メートル。


 ははーん。こういう時、背の高い人型機動兵器は目立って的になるのか。逆に戦車は車高が低いから遠距離では狙いにくい。


「翠ちゃん。主砲発射。距離がある今がチャンスだよ」

「わかった」


 またまたヘルメット内のARディスプレイに操作方法が表示される。目標選択と弾種選択は眼球の移動と瞬きで。発射は手元のレバーを握ってからトリガーを引く。とっても簡単だ。


 点滅しているアイコンを見つめ、瞬きする。一機を捉えた。弾種はAPFSDS装弾筒付翼安定徹甲弾


 私は目標をロックオンし、トリガーを引いた。

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