02

 斬り合いになった。


「おいっ。どうなってるっ」


 正義の味方として、わるい狐を狩りに来た。しかし、目の前にはなぜか彼女と、あと何人か。たぶん彼女の友達。


『狐の仕業かもしれん。目の前の相手は安全に制圧しろよ』


「ああはい。そうですか」


 明らかに、斬れそうな刃物。刀のように見える。


「まいったな」


 こちらは刀と銃。安全な制圧には、どちらも使えない。


「おわっ」


 彼女が斬りかかってきた。切っ先に迷いがない。そして、速く、強い。


「あっわかった。わかったわかった」


『なにが?』


「ゲームだ。彼女はゲームしてると思い込んでる」


 刀を避けながら、ゲーム機を探す。


「狐はゲームのなかだ。はやく探してくれ」


『わかった。そっちは安全に制圧よろしく』


「んなこと言ったって」


 彼女から逃げるのは至難の技になる。彼女、めちゃくちゃ、ゲームうまいし。

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発止 春嵐 @aiot3110

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