最終話 エピローグ

 異世界で、妻を5人も娶り、子どもも5人産まれた。


この世界で、骨をうずめる。その覚悟ができていた。転移があって、もう10年は経過した。


いまさら元の世界に、居場所なんてない。


 突然に、光に身体が包まれた。






 見たことのある景色だ。元の世界に、帰ってきた。


 自宅のあった住所に行ってみた。新しい家が建っていた。表札も違う。もう引っ越ししたんだろう。


というか、いまさら戻ったところで、たんなる浦島太郎なだけで、どうすればいいんだ。なんで、どうしてなんだ。



いや、もう帰りたくなかった。


再び、絶望した。生きる意味を失った気がした。


 もう死にたかった、でも、死ねなかった。


 死ねば、異世界に転生とかできるかもしれないとすこし期待した。でも、そんな勇気ない、怖い。

むこうで散々殺したくせに、自殺はできなかった。臆病者だ。


 行方不明になって、死んだと思われてた人間が、突然に帰ってきた。両親は、すでにこの世にはいなかった。会いたかったな。昔の知り合いには、何人か会えた。


 結局、昔の知り合いが、色々と助けてくれて、ふつうに会社に入り、働き始めた。もう結婚も考えるひともいる。とんだ薄情者だ。


異世界に行っていたなんて、誰にも、打ち明けられない、秘密だ。墓場まで持っていく。


残した妻たちにもう会えないのが、とても心残りだが、きっと無事に生きているのを神様に、願っている。それくらいしか、自分にはできない。


 あの出来事は夢だったのかな、そんなことはなく、履歴書の空白期間だけは、たしかに存在している。













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絶望しかない異世界に転移させるなよ おい、ふざけんな ブッ飛ばすからな なんと @humanfly0614

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