第1話 転移初日の出来事 満月の夜

 異世界に転移した。相変わらず何もわからなかった。ほっぺたを思いっきりつねった。ふつうに痛かった。やはり、現実なのかな、意味わからない。


そういや、自己紹介がまだだったわ。


 おれの名前は、田中一郎。でも、異世界に相応しい、オシャレな名前で呼ばれたい。この名前、ダサいもん。あんまり好きじゃない。


 父親は、イチローのファンだったんだ。

野球の才能なんて、微塵もなかったから、高校でも、野球部だけは入らなかった。ま、部活なんて、パソコン部だよ。活動実態のない、帰宅部だ。


バイトで忙しいし、彼女とも遊びたいし。


 帰宅部だから、彼女いないって、決めつけるなよ。


 もちろん、いないけど。頭のなかには、彼女がたくさんいるんだよ。恋愛ゲームにハマってるんだ。


 自己紹介、余計なことまでいいすぎたわ。


それは、さておき。


いま、これからどうするかだよ。何もわからんし。


 とりあえず、そこにいるひとの話をきくか。俺なんて、なんの役にも立たないと思うけど。社会の歯車として、誰かと結婚して、子どもつくって、って

そんな夢みたいなこと、ふつうに願ってたのに。そのために、学校で、やりたくない勉強だって、やってたのに。


 もうやだ、愚痴しかでないよ。この世界、ほんとやだよ。なんで、異世界転移に自分なんかが巻き込まれるんだよ。


 今日は、夜のいつもの秘密の行為、右手で、するか、左手でするか、どうしようかな。あ、オカズがない。どうしよう。困ったな、大変なことがわかってしまった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る