第43話 春眠

 今日、雨が降って気圧が低くなった為か、血圧も低くなったんだろう。


 パソコンの前で意識が薄くなり、自分が消えた。


 こうやって、この誰が読むか知らない雑文を書けるのも、起きて意識が戻ってくれたお陰だが、もし、そのまま、意識が切れて戻らなくなったら、どうしよう。


 うちの母親が逝った時も朝飯を食った後で、介護ベッドで横になり、起きたら、逝っていた。


 一瞬、発作が起きたようだが、後は眠るような感じだった。


 まぁ、逝ったら、逝ったで片付けるのは業者と近所の連中だろう。


 幸い金目のものはないが、売ればそこそこの値段の古書がいくつかある。


 積読の状態だから、まぁ、後、20年生きるとして、読む先から片づけて行けば良いだろう。


 と、パソコンの前で本を読んでいて、落ちた。


 罰が当たるが、人間、逝ってしまえば、その体はただの蛋白質と脂肪と水分と尿素の塊の粗大ゴミである。


 うちの母親を火葬した時に思った。


 生ごみの処理だな。


 やがて、いつかはと思ってしまうが、下手な施設に入って、逝く前から、生ゴミ扱いにされている老人たちを多く見た。


 基礎資格が介護福祉士というのは、見なくていいものを見る仕事だな。


 くわばら、くわばらと思いながら、逝く時まで、飯を食い、本を読んでいよう。


 春の転寝は罪深いな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る