第15話 校舎

 学校の夢を見た。


 校舎の夢だが、断片的だ。


 「出席日数が足りないぞ」と教師に言われたが、顔が一定しない。それだけ、記憶から消したいのだろう。

 廊下を渡っていても、その声に追いかけられた。


 どうしよう。どうしよう。


 卒業できなかったら、どうしよう。


 もう、40年前の事だが、時々、見る。


 誰かが追いかけている訳でもないのに、強迫観念だけが残る。


 どうする気だ?何をしたいんだ?


 責める声と強迫観念が追いかけてくる。


 目が覚めると、自分は既に還暦前の男で学校とは関係がない事に安堵する。


 校舎に何か忘れてきてしまったからだろうか。


 

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