第2話 奈落の魔域へ

GM: 狩人から渡された地図に従って森を進むと夕暮れごろには城跡へ到着します。

森の中の城跡はかろうじて石畳が見えるのみで、壁も柱も壊れ、瓦礫となって朽ち果てています。

そんな城跡の中心に浮く黒い球体、つまり奈落の魔域シャロウ・アビスの入り口が開いているのが見えます。


ドワーフの神官プリーストオスガル: 「これが異界への入り口か。実物を見るのは初めてだ」


GM: 奈落の魔域シャロウ・アビス内部の最奥にはコアと呼ばれる黒い剣状のオブジェクトがあります。一度中に入ると、コアを壊し魔域を崩壊させなければ脱出できません。中に進む準備はできていますか?


エルフの女騎士イルセリエ:準備と覚悟はできています!

「きっとアルくんも蛮族もこの中にいるはずです。どの道、異界への入り口は放置するわけにはいきません。踏み込みましょう!」


GM: わかりました。では君たちが奈落の魔域シャロウ・アビスへと踏み込むと、平衡感覚が揺さぶられ辺りの景色も変化していきます。

揺れが治った時、あなたたちは草原に立っています。

そして視線の先には崩れていたはずの城がかつての姿を取り戻しています。

そして、城からは蛮族の小集団が飛び出してきます。


人間の戦士ケイ: 「みんな、迎え撃つぞ!」


GM: では、奈落の魔域シャロウ・アビスに入っていきなりですが戦闘となります。

敵の構成はボルグ1体とフッドが3匹。それからフーグルが2匹ですね。

あっ…フーグルは初遭遇の魔物だっけ。魔物知識判定を振ってみて。


学者セージ技能持ちのイルセリエ、レベッカ、ヴォーパルが判定に挑み正体を見抜きます。


フーグルは小さなドラゴンのような形状の魔物です。といっても火を吹いたりはしませんし、戦闘力はドラゴンに遠く及びません。ただし、滑空して空を舞うため、近接武器に対する回避などでは実際のレベルより一回り強い立ち回りを見せる蛮族。油断してかかると危ない相手です。


近接攻撃に強いフーグルは魔法と銃で狙うことにして、残りの蛮族を戦士組が迎え撃ち…戦闘に勝利します。


GM: では戦闘を終えた君たちの右手の方から金属のぶつかる音や雄叫びが聞こえて来る。そちらを向くと武装した金髪の少年と何人かの兵士が蛮族と戦闘をしているのが見える。

どうやら今戦った蛮族は君たちに向かってきたわけでなく、右手の戦場への援軍だったらしい。


ドワーフの神官戦士オスガル:む? 金髪の少年と言えば行方不明になっているアルは金髪だったはず。しかし、武装しているというのがよくわからんな。


エルフの女騎士イルセリエ: 状況はよくわかりませんが少年と蛮族のどちらの味方をすべきかは明らかです。少年に加勢しましょう!


GM:君たちならそうしてくれると思っていたよ。薬草による回復をしようとすると10分の時間がかかる。このまま加勢するなら回復を挟まずにHPとMPは減ったまま次の戦闘に入るけどいいかな?


ルーンフォークの銃手レベッカ: GM。弾丸のリロードをする程度の猶予はもらえますか?


GM: それくらいなら許可していいかな。魔導機銃トラドールの弾丸は装填し直したものとして戦闘を開始していいよ。


フーグル4匹とアローフッド3匹。

合わせて7匹の蛮族との戦闘が始まります。

アローフッドというのはこれまで戦ってきたフッドと同じ種類の魔物ですが手に持つ武器が短剣でなく弓矢になっている亜種です。後衛エリアから遠距離攻撃を仕掛けて来る点こそ厄介ですが所詮1レベルの蛮族、冒険者たちの脅威というほどではありません。


乱戦エリアのフーグルが全滅し、ヴォーパルの範囲攻撃魔法スパークの射線が通るようになると呆気なく瓦解しました。


タビットの魔法使いヴォーパル:「やっぱりオイラのスパークは最強魔法だぜ」


う〜ん。否定できない。


GM: では君たちが加勢したことで金髪の少年と兵士たちは蛮族の群れに勝利することができました。


金髪の少年アル:「助けてくれてありがとうございます。おかげで命拾いしました」


GM: 戦いがひと段落したのでアルが状況を説明してくれます。事情を聞きながら薬草類での回復を行なって構いません。


奈落の魔域シャロウ・アビスは中に入った人間や蛮族の願いに反応して姿を変えます。蛮族たちは村を攻めるための拠点として、城を願いました。

これを止めるためにアルは助けとなる兵士の存在を願いました。

それに応えて魔域が生み出したのが先程戦っていた兵士やアルの着ている武装です。


金髪の少年アル: 「この魔域を構築している奈落の核アビス・コアはきっと城の中にあります。とは言え僕だけでは城の中の蛮族たちを倒し切ることはできません。冒険者の皆さん、どうか力を貸してください!」


人間の戦士ケイ:「もちろんだ! 体勢を整えたら一緒に城へ攻め込もう!」


次回、いよいよボス戦を迎えルールブックⅠの冒険が終わろうとしています。

とはいえ、この先にはこれまで戦ってきた数々の魔物の上位種が待ち構えています。

果たして無事に倒せるでしょうか?

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