【コミカライズ2巻11/24発売!】追放貴族は、外れスキル【古代召喚】で英霊たちと辺境領地を再興する ~英霊たちを召喚したら慕われたので、最強領地を作り上げます~
第23話 歴然の差はずっと昔からそこにあった。
第23話 歴然の差はずっと昔からそこにあった。
♢
「馬鹿な強がりだ。ディルック、お前に選ぶ権利などないと言っただろうが! いいから早く僕に忠誠を誓いたまえ!!」
「断るよ。さっきも言っただろ」
「はんっ、お前がこの誘いを断ると言うことはどういうことかわかるか?
僕の捕まえた商会の奴らの命がどうなっても……」
「残念だったな。それなら、もう解放したよ」
アクドーは、なにっ!? と喉をひっくり返らせ、後ろを振り向く。
「な、なに、お前らどうやって……!? きつく結んで、動きすら取れなかったはずじゃ」
そこには縄を解かれた商人たちと、
「それに、なんだあの怪物は…………! 新種の魔物か?」
「魔物じゃないよ。あいつは、俺の仲間だ」
空を悠然と羽ばたく白龍がいた。
彼は、「いかにも!」と答えて、俺のそばへと羽ばたきやってくる。
「ありがとう、もう下がっていていいよ」
「承知した」
召喚魔法を使ったのは、アクドーが俺に怒りをぶつけている時だ。
視界がかなり狭くなっているのは、簡単に見てとれた。
隙だらけだったので、召喚はかなり容易だった。
すぐに俺の意図を汲んだ白龍は、その鉤爪で商人らを縛る紐を断ち切った。
「なんだか分からないが、助かったぞ……!? ありがとうございます」
商人たちは、疲れ果てていたのだろう。馬車から這うように出てきて、俺へと感謝を述べる。
「テメェが逃げるのに成功したからって調子のんじゃねぇ! お前らの家族は皆殺しだ!」
アクドーの恫喝に再び彼らが怖気付くが、
「そんなことはさせないよ。もし危ない目に合うようなら、テンマで暮らせばいいだけのことだ。
それと、危ないから離れていてくれるか?」
俺の言葉に再び顔を明るくして、すぐに従ってくれた。
その様子に、アクドーの眉間にはまた皺が刻まれる。
「ディルック、てめぇごとき下っ端が、勝手に僕の決定を覆したんじゃねぇぞ! 辺境領主ごときに、口を開く権利もねぇ! もうムカついた、お前は処刑だ処刑!」
剣を振り上げ、向かってくる。
全くなっていない剣筋だ。がたがたに歪んでいる。
乱暴に振り回すことしか知らないのだろう。
「水の波動! 纏い水の剣! ははっ、魔法の使えねぇ雑魚相手に使うにはもったいねぇなぁ!! いい最期だろ? 僕の水魔法を浴びて死ねることをせいぜい感謝するんだな。はははっ!」
……まぁ使えるようになったんだけどね?
むしろ、龍の火を扱うこともできる。
しかし、あえてそれを使う必要もなさそうだ。
なんて単純な剣だろうか。剣術道場の子どもでも、もう少しうまく扱う。
ラベロ流の身のこなしでもって、俺は刀をかわし脇へと抜けた。
アクドーがそれに反応できずに、いや知覚すらできずに、
「叩き斬ってやる!!」
と恫喝したところ、その横腹を突いた。
刃ではなく、刀の柄でたった一回だけだ。
アクドーの憎たらしい顔が、視界から消える。
彼は、もう膝から地面に崩れ落ちていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます