『火星短信』 22


 『火星短信』 2500 1-25



 『2ヶ月前から、地球との通信は突然、途絶えたままであり、連絡船も停止している。


 火星政府は、様々な連絡ルートを用いて、地球との連絡を試みているが、今のところ成功していない。我々も、独自の通信網を使っているが、地球支社とは、連絡が取れないでいる。高性能望遠鏡の観察でも、ほとんど動きが見られていない。地球は、壊滅したのか?


 早急に確認が必要である。


 火星政府も、ようやく、調査船をあす飛ばすという。


 確実な情報公開を望みたい。


 地球に、何があったのか。


 待て、続報。




      ・・・・・・・・・

   


  『王国王女緊急通信』



 タルレジャ王国第1王女 より


           第2王女あて



 『リリカさまが、おきれになりまして、地球封鎖シールドを張りました。地球政府の火星の旧人類(わたくしたちのことです。)に対する扱いが差別的で、許しがたいとの理由です。わが王国だけは、除外するとのお申し出でしたが、後に恨みだけが残りそうなので、ご辞退申し上げました。ダレル司令官は、静観しています。地球側は、いわゆる、籠城作戦に出ていますが、気の毒なのは、地球から火星に進出した地球人類のかたです。地球は、もともと、孤立していたのだから、昔の暮らしに帰ればよいのです。しかし、人類は、後戻りが苦手です。わたくしは地球政府に対し、火星からは一端撤退するように、申し上げました。月は、リリカさまたち、ネイティブマーズヤンと、はんぶんこです。まあ、火星を返す、わけですが、一度得た領土は、手放さないのが、地球人類です。少し様子見し、だめなら、旧火星に助力いたします。宇宙怪物さんにも、久しぶりに、スタンバってもらいます。戦争になるかもしれません。あなたは、基本自由ですが、あたくしの支配下にあることは、お忘れなく。』


 

 これ以降、旧火星人類と、地球出身の火星在住者の一部が合体し、地球人類との、長い独立戦争に発展したのである。


 この時からは、火星人という名称が使われるようになった。


 それは、また、いづれの時か、報告しよう。


 また、各平行宇宙でも、それなりの対立抗争に発展して行くのである。  


 しかし、一ヶ所だけ、平和を維持した平行宇宙世界があったことは、付け足しておく。


 それは、あなたの世界であることを、祈ろう。

          


              おわり


 

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『火星短信』 第1部 やましん(テンパー) @yamashin-2

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