『火星短信』 21
『地球新報タルレジャ王国版』最新号
『社説』
『地球と火星との確執は、ウィルス感染症の大爆発により、かなりきわどい状態にまで、発展した。一時は、戦争状態になる可能性まであったことは、一部には、そのようなものは、妄想にすぎないとの見解も出てはいるが、それは、まったく、正しくない。
そうした見方は、危険である。
将来的に、同じような事態を招きかねないからである。
指導者たちは、自分達の責任は間違いなくある、と常に言いながら、実際に責任を認める場合は、希であろう。
認めるとしても、ずいぶん時間が経ってから、暴露本を出して、さらに儲けを狙う。
それでは、根本的な解決など、できないのではなかろうか。
今回、我が王女さまが、水面下で大活躍されたらしいという情報はあるが、王室は神秘のガラスのカーテンに遮られ、王女さまのご意志に関わらず、なかなか、真実は伝わらない。
確かに、王室は、政治に介入するのは、原則的にできない。
しかし、これは、政治的な行為なのか、あくまで、悪性の病に対する救済行動なのか、国民が、きっちり判別できるようにすべきであると思う。
つまり、確かな情報が公開されるべきなのだ。
王女さまご自身は、かねてから、情報公開に積極的である。
たしかに、すべてとは、行くまいが、あまりに、隠しすぎていないか。
開かれた王室は、明らかに、明るい未来を指し示すのだから。
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『火星短信』 2400-102.40
火星と地球とに於いて持ち上がっていたトラブルは、ひとまず合意に至り、ウィルス対策でも、協力体制をさらに強化することで、一致した。
火星側は、ウィルス感染症の広がりについて、地球政府側に情報の提供を十分に行わなかったことを認め、改善策を講じるとし、地球側は、そもそも、それ以前からの、地球におけるウィルス感染症の実態について、火星政府に適切に知らせず、結果的に、相互の不審を産み出した責任を認めた。
痛み分けということにはなったが、犠牲者に対する対策が、必要もなく、遅れてしまったことは、間違いがない。
今回の合意は、確かに意義があるが、責任の所在はあいまいにしたままとも言える。
地球と火星が、すでに隔離された、別々の存在になりつつあるという指摘は、間違いではないと言える。
火星側には、すでに、火星生まれの世代が成長しつつあり、『火星人』という名称を使うべきという主張も出てきている。
これを、ある意味の恐怖として、頭から議論してこなかった政治家たち双方に、同じくらいの責任があると言えよう。
なお、タルレジャ王国の王女さまには、双方がかなり『依存』をしたらしいし、感染症の薬剤に関しても、そうらしいが、このあたりも、可能な限り、明確にしておくべきだという意見が、リベラル派からは強いが、保守派は、守るべきことは、守るべし。と、主張している。
なお、我々、火星短信としては、バランスの取れた報道という信念からも、タルレジャ王国の王室に、取材の申し込みをしている。
王女さまのお立場は、尊重するべきことは、言うまでもない。
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第1王女発
第2王女あて
『感染症は、なんとか、収まりそうですね。ところが、なぜ、王国では、患者が少ないのか、とか、なかには、あたくしは、やはり悪魔か、というような、うれしいご指摘まで出ているようです。しかし、反論はしてはならないですよ。あたくしが、実際に火星人だったことがあるなんて、まあ、言ったら、もう、最後通告みたいなものですからね。
ただし、あなたは、関係ないから、もし、実際にばれたなら、第1王女の、また、女王の座は、あなたのものです。
でも、下手すると、第3王女さまに、狙われますよ。
どうしますか?
(ジョーク!)
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