『火星短信』 18


    『火星短信』臨時号第1号



 『一時は、火星植民地は、非常に危険な状態であった、壊滅の寸前だったと、巷では、広く言われながらも、当局からの情報がまったくないため、実際の詳細がさっぱりわからないままであった。その火星植民地の様子が、ようやく、わかり始めた。


 なぜ、政治家や、管理者は、事実を隠したがるのか?


 20世紀の独裁者なら、そうしたこともあろうけれど、今時、なぜなのか、理解に苦しむ。



 今回、タルレジャ王国の第1王女さまが、事実上、スッぱ抜いた形になった。


 タルレジャ王国の第3王女さまは、つい先日まで、地球帝国皇帝だった。第2王女さまは、総督だった。


 しかし、第1王女さまは、本職の王女業と、宗教指導者に精をだしていて、帝国には、ほとんど関わらなかった。


 地球帝国は、磐石に見えた。


 しかし、突然、王室は政治から、一切手を切った。


 まったく、青天の霹靂である。


 地球文明始まって以来の、戦争行為完全禁止法が制定され、核弾頭は廃された。


 いささか、強硬措置も行われたのも、事実である。


 しなし、地球は、文明誕生以来、初めて、戦争行為の放棄を宣言した。


 それから、10年経過した。


 そこに、降って湧いたのが、今回の感染症の問題だ。


 地球と火星で、別々の未知のウィルスが、人類を攻撃した。


 ウィルスの起源は何処からきたのか。


 いまだに、わからない、と、新政府は言う。


 しかし、第1王女さまは、『第9惑星』であると、断言した。


 それも、意図的だったと。


 地球政府は、慌てて、それは、推測に過ぎず、根拠がないとした。


 すると、第1王女さまは、詳細な科学的データを公表した。


 地球政府は、とりあえず、否定はしたが、まったく、まともな反論ができなかった。


 第9惑星の、かの独裁者は、あたまから、否定している。


 しかし、これも、十分な反論はできてはいない。否定しただけだ。


 客観的に見て、第1王女さまの論拠は固い。


 にもかかわらず、地球政府は、間もなく、第1王女さまの拘束を行う積もりらしい。


 そのための罪状を、沢山用意中らしい。


 その第1王女さまは、巨大宇宙戦闘艦『アブラシオ』に、すでに移ったらしい。


 第一次地球火星紛争で、地球の人々は、その凄まじい能力の一部を見ている。


 アメリカ国の水爆を直撃被弾したが、まったく、傷ひとつ、付けられなかった。


 もし、タルレジャ王国と、地球政府、第9惑星政府の戦争になれば、まず地球政府は歯が立たないと見られるから、第9惑星頼みとなるだろう。


 そのために、戦争行為の放棄を謳った地球憲法は、放棄されるのか。


 そんなことまでをしても、何を、隠したいのか。


 それは、次号、臨時版にて、さらに報告したい。



    ‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡‡


 


 


 

 

 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る