『火星短信』 17


 『火星のリリカさまよりの電子メール』



    タルレジャ王国第1王女さまあて



『せっかく、完全平和の独裁政権を、苦労して御作りになりましたのに、なぜ、一夜の間に、やめたのですか?


 あとを継いだ地球の政権は、昔と変わらぬ汚職体質と、金権体質、パワハラ独裁、いじめ体質から何も変わりません。


 これでは、あなたさまの理想から、離れるばかりです。


 わたくしは、さまざま、ご協力した立場から、まったく、理解不能です。


 しかるべき、ご返事がない場合は、金星軍団と共に、お譲りした火星を奪還したうえ、地球も占領したく思いますが。いかが?』




 『タルレジャ王国第1王女さま返書』



 『いつも、お世話になっております。ありがとうございます。


 ベートーベンさまの、ピアノ・ソナタ第27、28、29、30、31、32番、を、弾いておりますなかで、なにか、悟るものがありましたのです。


 御侵略は、ご自由にどうぞ。


 わが、王国は、動きませんが、もし王国に手出しするようなら、わたくしが、みなさま、まとめて壊滅させていただきます。昔からの習いです。


 それは、別として、お茶にいらっしゃいませ。


 美味しいケーキを準備しますよ。


 首相さまには、退陣していただき、政権は交代させて、今回は済ませませんか。人類は、まだ、宇宙の赤ちゃんなのです。』


 


 


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