『火星短信』 第１部

『火星短信』 16

　　　　　　秘密通信

　火星のリリカより

　　　　　　第１王女さまあて

　『ご提案、真面目に検討しています。ダレルさんも、珍しく賛成していて、だめママにしては、よい提案だと誉めていますよ。(わたくしは、ダメママとは、思いませんが。)

　ただ、少し高すぎです。

　全地球の財産でも払えないでしょう。

　10億年ローンでは、いかがですか？

　誰が払うのか、わかりませんが。

　また、地球を破壊したあとは、住民の皆様は、どうするのですか？

　火星は、受け入れ不能ですよ。』

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　第１王女より

　　　　　火星のリリカさまあて

　『あなたさまは、地球を破壊すると決めているようですが、火星を破壊するという方策がありますことを、お忘れなく。

　ババヌッキ社の、元総裁さまは、いまは、明るく楽しい、地獄の経営に熱中していますが、火星の破壊なら、資金を出すと、おっしゃっていますが、どうしますか？

　多少なら、お値引きの用意はあります。

　また、ローンも、オーケーですが、10億年は、ちょっと長すぎです。

　ババヌッキの元総裁さまは、1000年返済と申されていますよ。

　貨幣価値が保てないでしょう。

　なお、地球の難民は、ヘレナリアさまの惑星が、待ちかねております。

　絶対平和の、時間が輪としてしか流れない世界です。

　永遠の、平和の牢獄でもありますが、かつて、金星の軍団が、脱出に成功した例はあります。

　地球人や火星人に、同様の知恵があるかどうかは、わかりませんが。

　なお、デモンストレーションとして、現在生命が不在の金星の破壊ならば、無料サービスで行いましょう。

　また、火星の感染は、間もなく収まるでしょう。

　地球は、地球人が何とかすると思いますが、実家のほうで、やっと、治療薬を開発しました。じき、終息するはずです。

　あ、良いおとしを、お迎えください。』

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