『火星短信』 12
『火星短信』 2400-102.021
本誌の調査によると、火星当局が、地球政府を介して、タルレジャ王国の王室と、密かにコンタクトを取っているらしいことが、分かってきた。
これは、王室の親戚筋からリークされた情報で、過去の事例から見て、正確性が割合高いと見られている。
しかし、リークされたのは、あくまで、連絡を取っている、というだけであり、内容はまったく、出ていない。
そこに、憶測や、推測、果ては、オカルト系の雑誌による創作まで加わって、不確かな情報が反乱し出している。
これは、内容が極めて興味を惹くからであるとともに、相変わらずタルレジャ王国の『三王女』さまに、高い関心が在るからだと思われる。
火星のウィルス疾患については、情報統制が厳しく、いまただに、状況は良く分からないが、なかり、危機的状況にあると思われる。
一方、地球の新型インフルエンザも、拡大が止まらない。
タルレジャ王国の、とくに、第1王女様は、地球始まって以来の天才とされ、あらゆる分野で活躍しているが、火星や地球の疾患について、画期的な新薬を開発しているとの、未確認情報も飛び交っている。
タルレジャ王国の政府も、王室も、お互いをかばいあうように、のらりくらりとするばかりである。
にも拘らず、王国の感染率は、異様なほどに低い。
一部には、病気を、三王女様のせいにする動きもあり、当局は、神経を尖らせているようだ。
しかし、火星や地球の一般人のフラストレーションは、溜まる一方だ。
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