『火星短信』 5


 『月居留地政府秘密文書』



『本日、火星政府から入電した情報によると、昨日、火星食糧ドームのひとつにおいて、大型の火星ネズミが、地球から連れてこられた、三毛猫のみみちゃんを襲い、補食したとこのことである。


 みみちゃんは、行政次官の奥さまのお気に入りであり、非常に落ち込んでおられるとのことであり、各種配慮されたし。』





 『火星の赤い風 号外』



 『政府筋は、いまだ公開していないが、火星食糧ドーム16で、巨大化した火星ネズミが発見された。昨日から、行方がわからなくなっていた、地球種の三毛猫のみみちゃんが、あわれな姿で発見されたが、巨大化した、この火星ネズミに食べられたようである。


 その個体は、レーザー銃で、処分されたという。


 飼い主にはお気の毒ではあるが、次は、人間を襲うことは明らかである。


 火星ごきが、人喰いごき化しているなか、人喰いネズミが現れたら、人類は、はやくも、火星での発展に赤信号がともることになる。


 異端の科学者とされ、政府からは、見放されたかたちの、ドクトル・イマガ・ワ・ヤキ氏は、さらに流行が懸念されるコロナ型ウィルスと、ごきや、ちゅうの過激化、巨大化が、関係している可能性があると、本誌の取材に答えた。


 これについては、特集を組む予定であるが、はやくも、政府からは、いやがらせが、来ている。


 市民諸賢の援助を請いたい。



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