第24話
「はぁはぁ」
僕は息を荒らげ、崩れ落ちる。
もう僕の中に魔力なんか残っちゃいなかった。
誰かと戦うのなんて生まれて初めてで苦労した。
「ふぅー……あふ」
僕は立ち上がろうとするも失敗する。バランスを崩し無様に倒れてしまう。
「あー疲れ」
僕は言葉を止める。
何故か。
後ろから爆発的な魔力が吹き上がったからだ。
「……ッ!?」
僕は慌てて後ろを振り返る。
「すごいじゃないか。うん」
そこにいたのは少しだけすっきりとした『』。
なんと表せばいいかわからない。
こんなの……魔怪でも、化け物とも言い表せない。もっと別のなにか。言い表すのだとするのなら……神か。
これは万全のときの僕の全力のよりも遥かに強い。
僕の額に冷や汗が流れる。
「ちょっと頭に来たぞ。うん」
目の前の『』は言葉に少しだけ怒りの色を見せる。
「お前は最後だ。うん。お前の前で、お前の大切な人間を一人づつ殺していってやる。うん」
「は……?」
僕の口から変な声が漏れる。……こいつはナニヲイッテイル?
魔怪はそんな僕に背を向ける。
「まずはお前からだ。うん」
魔怪の視線の先にいるのは小夜。
魔怪はわざと僕に見せつけるようにゆっくりと小夜に向かって手をのばす。
その先にいる小夜は恐怖で腰が抜けているのが、動かなかった。
「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
僕は立ち上がり、駆ける。
そのために大地を蹴らんとする。
だが、
体は自由に動かない。
力の入らない僕の体はぜんぜん言うことを聞かず、ゆっくりと倒れる。
立ち上がることすら出来ない。
「よく見ていろ。うん。怒れよ。うん。そのうえでお前は俺が殺す。うん。惨たらしくだ。うん。それがこの俺に歯向かったお前への罰だ。うん」
魔怪の腕が小夜を吹き飛ばす。
舞う。
小夜が。
赤く。
アカアカアカヒメイヒメイヒメイ
クズレルオチルカラダチカラナキカラダタヨリナキカラダ
ショウテンノアワヌヒトミヒカリナキヒトミ
ナニガ
ナンデ
ドウシテ
自分の中でなにかが壊れた。
ナガレル。
ながれる。
流れる。
何かが。
侵略してくる何かが。
僕という存在を押し流さんと。
あぁ、くだらない。
僕は弾き飛ばす。
侵略してくる何かを。
くらい尽くす。どこまでも。何も残さず。
世界は光に包まれる。
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