第19話
「『動きなさい』」
小夜のその一言とともに目の前の魔怪たちがピタリと動きを止める。
『動きなさい』って言っているのに、なんで動きを止めるの?逆張りしているじゃん。って思ったが、ちゃんと理由があるそうだ。
なんでも、小夜の能力は封印。魔力とも呪力とも剣気とも違う。封力というものを持っているらしい。
なんで小夜が独自の能力を持っているのか謎でしか無いが、まぁそういうこともあるのだろう。
今のは動きを封じたんだそうだ。
「よっこいしょ」
僕は小夜の言葉によって動きを止めた魔怪を糸で切り刻む。
動いていない相手を殺すこととか簡単すぎるね。
ヌルゲーだ。バリバリのヌルゲーだ。
「流石はお兄様です!私達のコンビネーションは最高ですね!」
「そうだね」
僕と小夜はハイタッチを交わす。
「そんなことはいいから動いて!?このままじゃ……このままじゃ……!」
呑気にやっている僕と小夜を見て神奈が叫ぶ。
確かに神奈の言う通り周りは大変なことになっていた。
いきなり地中から現れた大量の魔怪を前にメンバーの陣形は破壊され尽くした。
びっくりするくらいの速度でバタバタと人が倒れている。
いきなり現れた魔怪たちに加えて、最強の侍らしい男が何らかの方法によって身動きが取れない状況になってしまっているということが現状にさらなる混沌を生み出しているんだそうだ。
まぁ神奈には一番くじのご恩がある。なので、神奈が悲しまないようにこの場にいる全員が死なないように魔力をバレないようにコソコソ使って助けている。
ちなみに豚さんは用事があるらしく、今はここにいない。豚さんが僕の元に離れるときに力が欲しいって言っていたのでかなりの量の魔素を豚さんに渡してある。
「わかっていますよ」
小夜は神奈に短く返答して、再び封力を練り上げる。
その力を魔怪に向けようとしたその時。
ちょうど小夜の下。
そこで力を。びっくりするくらいの力を感じる。
僕の魔力に匹敵するほどの力。魔怪たちが持っている謎の力を保有している存在がいることを感知した。
「危ないッ!」
僕は小夜を突き飛ばす。
その存在は下から猛スピードで上へ上へと上がっていた。
そして───────
僕の右腕が空を舞った。
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