第18話
「はぁー……もう良いです。お兄様……」
小夜がクソデカため息をつき、諦めたように呟く。
「そこの女。お兄様は私のだ」
「むにゅ?」
僕は小夜に抱っこされる。
「……そういえばお前は妹なのでござるか?背丈的に考えれば圧倒的に姉感が強いでござるが」
「僕が兄だぞ!」
僕は声を張り上げる。
まぁ小夜に抱っこされている現状を見れば……ふにゃ。
「はい。お兄様は私の自慢のお兄様ですよ?」
「そうでござるか!兄妹愛が強いのは良いことでござるね!」
うんうん、と。雲母が頷く。
「えぇ。私達は二人いればそれだけで十分ですので。あまりお兄様と関わらないでくださいね」
「うむ!わかったでござる!」
「降りるね」
「あぁ……」
僕は小夜の手から降りて、悠真のもとに駆け寄る。
「ひっ!」
悠真はなぜか僕が近づくと悲鳴を上げる。どうしたんだ?こいつ。
「悠真はちゃんと呪力扱えるようになった?」
「あ、あぁ。他二人よりかは全然だが、まぁなんとかやっているよ」
「そっか!よかった!」
悠真からは魔素の真の字も感じられなかったから心配していたんだよ。なんとかやれているのなら良かった。うん。
「それよりお前はどうなんだ?」
「ん?僕?僕は大丈夫だよ?」
糸を操作し、後ろにあった廃ビルを真っ二つに両断する。
すごい轟音とともに廃ビルは崩れ落ち、砂埃を起こす。
「剣気も呪力も使えないけど、魔素はたくさんあったから!糸を上手く使ってクラスでも最強の地位を獲得しているよ!」
「確かにお兄様はずっと糸を使う練習をしていましたからね。アニメさながらの糸捌きでしたし」
「うんうん。僕の糸捌きはすごいんだから!苦戦を知らないからね!僕は!」
僕と小夜と悠真はくだらない雑談に花を咲かせる。
小夜とは毎日家で会うけど、学校が別々になったから悠真と長らく会えていなかったけど、久しぶりに会ってたくさんお話出来たから良かった。
ちなみに何故か神奈と雲母の二人は無言で睨み合っていた。何をしているんだろうね?
「「「え?」」」
「「……ぽえ?」」
そんなこんなで足を止めてみんなでダラダラしていた時。
なぜか走らないけど魔力が溢れ出る。すぐに消えたけど。
「これは……ッ!」
神奈が驚愕の表情で固まり、他の大人の陰陽師や侍の人たちも驚愕し、警戒しだす。
地鳴り。
地面が揺れる。
そして、出てくる。
魔怪たちが。
数えるのも馬鹿らしくなってくるくらいの大量の魔怪が地面からのきのき、っと生えてきた。
腕が飛び出し、頭がひょこっと出て、体から足。
何事もなかったかのように。
え?なんで魔怪が地面から這い上がってくるの?こんなの初めてみたよ。
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