第17話
「ふんふんふーん」
僕と雲母は反転世界を自由気ままに歩く。
魔怪を無秩序に殺しながら。
廃ビル集め集め作戦。
最初の方は上手く行っていたのだけど、周りから魔怪の数が減っていくと同時に周りから魔怪を集めていくのが大変になっていた。
わざわざ魔怪を集めるより普通に戦った方が速いと判断した僕らは普通に魔怪と戦うことにしていたのだ。
「行くでござるよ!風和!」
「了解!雲母!」
上へと掲げた雲母の刀に僕は糸を巻き付けていく。
「これが!」
「僕達の!」
「全力!」
「「雲風流奥義・雲珠糸音!!!」」
僕と雲母は同士に腕を振り下ろす。
それと同時に僕が糸を動かし、目の前にいた魔怪を斬り裂いていった。
別にさっきの攻撃は奥義でもなんでもない。僕がただ普通に糸を使って魔怪を斬り裂いただけ。
雲母が僕の隣にいる必要も、剣を振り下ろす必要もない。
だって僕が糸で斬り裂いているだけだから!
「「うぇーい!」」
僕と雲母はハイタッチを交わす。
だけどさっきのはなんとなくカッコいい。
いつかはあれを一つの技として完成させたい。
何なら雲風流という流派を作ってみたい。僕と雲母だけの、数少ない者しか知らない剣技。実にそそられる。
「お兄様!?」
「ふにゃ?」
僕と雲母がハイテンションで楽しんでいるところに小夜の声が聞こえてくる。
僕が後ろを振り返ると、そこには小夜の姿があった。
そこにいるのは小夜だけではない。悠真と神奈の姿も見える。
「お兄様!隣の女性は誰ですか!」
サクッと僕の方まで転移してきた小夜が僕に詰め寄る。
んにゅ?小夜が使った力。魔力とも呪力とも剣気とも違うような?
「ん?雲母のこと?」
僕は自分の隣に立っている雲母に視線を向ける。
「変な女はいないと……!」
「うん。雲母はいい子だよ?危ない子じゃないよ?」
「そうでござるよ!某は悪ではないでござる!タバコ吸ったりぱらりらぱらりらしたりなんかしないでござるよ!」
「そういうことじゃないです!ふんす!」
僕が見たこと無いくらい息を荒らげる小夜。なんでそんなにご立腹なのだろうか?
「あ、雲母雲母」
「はいはいなんでござるか?」
「自己紹介していないのが行けないんじゃない?」
「はっ!なるほどでござる!それならば変な女と言われるのにも納得でござる」
僕の言葉に納得がいった雲母はカッコいいポーズをビシッと構える。僕も横でポーズを取る。
「月下の侍!雲母!」
「氷人の暗殺者!風和」
「「二人合わせて月下氷人!!!」」
決まった!!!
僕と雲母は無言でハイタッチを交わした。
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