第45話
「え?」
僕はいきなり聞こえてきた渋いおじさんの声に首を傾げる。
今の……この怪物から?
『お?何じゃ?お主』
怪物から伸びている触手のうち一本が僕の方に向く。
「あ、この距離でも声が聞こえるんだ」
『おぉ、聞こえるとも聞こえるとも』
「へぇー、便利なんだね」
『おうともおうとも』
「それで?何をしているの?」
『いやぁー、なんかのぅ。別に儂は望んでないのじゃが、生贄を差し出されてのぅ。此奴を隔離しなくてはいけないのかぁ、と思ってのぅ』
しゅんと僕の方に向いている触手が垂れる。……可愛い。
「ん?じゃあ僕が君の余分なもんを吹き飛ばしてあげようか?」
『ほう?そんなこと出来るのかえ?」
この怪物は中央に存在する小さな存在から溢れ出る莫大な力が実体化したような存在だった。
多分だけど周りのほとんどを吹き飛ばしても中央に存在する小さな存在を傷つけなければ何も問題ないだろう。
「うん」
『出来るのならやってもらいたいのぅ。儂が寝ている間に勝手に成長していたこれが邪魔で動きたくともなかなか動けんてのぅ』
「おっけ。任せて!僕も生贄の子を助けてあげたかったから!」
ふふふ、今こそ一番くじの借りを返すべき時!
僕は神奈の前へと降り立った。
それと同時に魔力を開放し、刀を振るい神奈を覆っていた触手をすべて消し飛ばす。
「騒々しいな……」
僕のカッコいい登場に驚き動き始めた人たちに警告する。
……お?本当に動きを止めたよ?素直かな?
「弱く、醜いな」
僕はそれっぽいことを言って魔力をかっこよく操る。
「無駄だ……我が前に立つにはあまりにも弱すぎる」
見栄え重視で魔力を操り僕の元に迫ってくる触手を消滅させていく。
そして剣を抜く。
「裂けよ」
剣を振る。
空を覆っていた怪物の巨大な触手を両断し、夜空を見せるようにする。
『ほぉぉ!随分とすごいじゃないかぇ!』
「でしょ?」
僕は後ろに立つ神奈に聞こえないように小さな声で答えた。
「んじゃ行くよ」
『いつでもきんしゃい!』
「刮目せよ……」
僕は開放していた魔力を剣の元に集約させる。
「開闢の時雨」
剣をめちゃくちゃ早く振る。頑張って早く振る。
触手を切り裂き、巨大な怪物の胴体を切っていく。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!
「拾いに行くね」
『ありがたいのぅ』
僕は巨体を失い小さくなった怪物を拾い大きい桜の木の上に立つ。
「ふむ。きれいだ」
僕はなんとなく月を見上げる。
月見てればなんかかっこよくなるよね!
とりあえずは神奈を助けられたからよし!
「何者だ!」
早く帰りたいなぁー。
そんなことを思いながら、声をかけてきた人間に視線を向けた。
12月14日にトム・ブラウンみちおさんの異世界ファンタジー小説『異世界巨大生物VS元アスリート』の第1話が公開されましたね。皆さんはすでに読みましたか?
想像以上に王道のファンタジーで驚きました。
トム・ブラウンみちおさんの作品を見ていたら、短編作ってみたくなったので、作ってみました。ぜひ読んでくれると嬉しいです。
『ヤンデレ天才ワキガ剛毛巨乳黒髪ショート美少女である妹の部屋から激臭巨大ディ◯ドが出てきたんだけどwww』
やっぱ下ネタ書きやすいわぁ。体臭と剛毛はセットだよね!
目指せ!トム・ブラウンみちおさん超え!www
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