第20話

「ふぅー」


 僕は学校の机で溶ける。


「いやー、すげえ疲れてそうだな。何かあったか?」


 僕のそばにいた悠真がだらりとした僕を見て少しからかうような口調で聞いてくる。


「いやー、小夜に手錠をつけられて一日だけ監禁されて」


 僕はあったことを一行でまとめ、悠真に教える。


「……お、おう。そうか。……そうか。とうとうそこまで……」


「だからせっかく買った本が読めなかったんだよ……」


「お?そりゃまた災難なこって。それで?どうするんだ?戦いの方は」


「ククク、辞めるわけがなかろう!僕は神より使命を与えられし運命の子!これしきのことでは屈しない!」


「おう、そうか。じゃあまぁ頑張れよ。俺はお前の親友として応援することしかできんわ。後よ。お前もう少し声の声量下げられないのか?悪目立ちしているぞ」


「あ、ごめん」


「……まぁお前の場合見た目が可愛いから微笑ましい目で見られているんだがな」


 ん?今悠真小さい声でなんて言った?

 まぁいいや。

 聞こえなかったら聞こえなかったで。


「はぁー」


「ん?どうしたの?」


「そろそろ期末テストが近いなぁと思ってな」


「あぁ。そうだね。そろそろそんな時期だよね」


「……いいよな。お前は頭が良いから」


「ふふん!僕は前回の中間試験で順位一桁に入っているからね!」


「ほんと、マジでそれ。意味がわからない。アホで、天然で、超鈍感で、危機感0なのによ。なんで頭だけはいいんだよ」


 むぅー!( º言º)

 僕はアホでも、天然でも、超鈍感でも、危機感0でもないのに!

 まぁそれを怒りのままに不満の声を上げたら、なんかいつの間にか僕が悪いみたいになっているから変に言葉を言ったりしないけど。


「あー面倒。なんでテストなんかあるんだし。消えちまえばいいのに」


「そこは完全に同意だね!なんでテストなんかあるんだよ!」


「ほんとだよなぁ。俺はゲームしていたいんだけどなぁ」


「そこは勉強を使用?……僕には応援することしか出来ないよ」


「あ、それ俺のセリフ。勝手にパクんなよ」


「えへへ」


 一度だけでいいから言ってみたかったんだよね。これ。


「あ、そうそう。そういえば新しくイベント追加されたじゃん?」


「え?何の?」


「ほら。最近俺らがハマっているゲーム」


「え?あれ?」


「そうそう」


「へぇー。そうなんだ!新しいイベント追加されたんだ。やってみよ。最近やることなくなってきていたから嬉しいな」


「おう。そうだな。どっちが速くイベント完走出来るか勝負な?」


「いいよ!やろやろ!」


「あ、負けた方は買った方に昼飯おごるな」


「うん。いいよ。わかった」

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