第19話

 お風呂に入り、服を着てからはもう楽勝だ。

 くくく、肌色の試練を乗り越えた僕はまさに無敵!

 服を纏った小夜など恐るに足りる。

 はわわ。

 小夜のネグリジェえっちい。

 いや!落ち着けー!落ち着くのだーッ!


 あの後、また小夜がベッドをカチャカチャと弄ると透明な板が空を飛び、お風呂の蓋をする。

 ……ホントどういう原理?

 再度マットレスを置き、シーツを引けばベッドへと早変わり。

 何故か周りにはお風呂から跳ねた水を見ることが出来ない。

 ん?マットレス?そんなのあったけ?まぁ小夜だからそんなこともあるのかな?


「ふふふ、お兄様と一緒に寝るなんて久しぶりです」


「うん、そうだね」


「これから毎日一緒に寝ませんか?」


「でも中学生と高校生の兄妹は一緒に寝ないんじゃないの?」


「そんなことないですよ?私の友達も兄と一緒に寝ていますよ」


「そうなの?じゃあこれから一緒に寝ようか」


「はい」


 小夜は嬉しそうに破顔する。

 うんうん。

 小夜が喜んでくれているなら良かった。


「それではお休みなさい。お兄様」


「うん。おやすみ。小夜」


 僕は小夜と一緒の布団に

 ……狭くて暑い。

 うぅ、安眠できなそ……

 _(ˇωˇ」∠)_ スヤァ…


 

「お慕いしております。私だけのお兄様」


 ■■■■■


 夢を見る。

 毎日のように見慣れてしまった夢だ。

 僕が椅子に座り真っ赤な本を呼んでいるだけのつまらない夢。

 それが何を意味するのか。僕は知らない。

 

 ■■■■■

 

 チュンチュン


「う、うーん」


 窓から漏れる太陽の光と小鳥のさえずりによって僕は目を覚ます。


「はふぅー。よく寝た」


 僕は精一杯手を伸ばす。

 ふぇぇぇ。

 およ?

 僕は天高くまで上げられた右手を疑問に思う。

 あれ?たしか僕の右手って拘束されていなかったけ?


「ふふふ、あれはあくまでお仕置きですから。昨日までで終わりですよ?」


 僕の様子をずっとすぐそばで見ていた小夜が困惑する僕に教えてくれる。

 なるほど……。


「ですが、また嘘を付くなら、またですよ?」


 冷たくゾッとする声。


「(((゚Д゚)))ガタガタ」


「ふふふ。朝ごはんを作ってきますね。身支度を終えてからリビングの方に来てください」


 ふー。どうやらなんとかなったようで良かった。

 次は小夜にバレないように頑張らないとね。

 ……それにしてもなんで小夜にバレたんだろうか?それだけがわからない。 

 盗聴器とかGPSとか仕掛けられていないことはしっかり確認済みなんだけどな。

 うーむ。わからない。本屋に待ち伏せしていたとか?……わかんね。

 いやー、でも今回はなんとかなったから良し(๑•̀ㅂ•́)و✧

 夜になにかされたわけでもなく、ぐっすりと安眠できたし。

 僕のベッドよりふかふかで良かったくらいだ。

 なんか妙にスッキリした小夜の顔と、湿っていた僕の口元や首筋辺りは気になるけど。

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