第10話

「我は全てを知っている(๑• ̀ω•́๑)✧ドヤァ」


 僕はそれだけを言い残し、華麗に消える。

 ふふん!

 キマったね!完璧だね!

 むふー。

 満足。満足。大満足。

 わざわざあの化け物の攻撃を必要最低限の動きで素早く避けて、元の場所に戻ってくる。

 なんて面倒なことして、まるで攻撃が僕をすり抜けているように見せたのだ。

 普通に面倒だったが、攻撃が、すり抜けている!?っていうのをやってみたかったのだ。

 倉橋さんのあの驚いた顔を見れただけでわざわざ面倒なことをした甲斐があったというもの。

 当然現れるストーカーさんに、増殖するストーカーさんに恐怖は抱いたが、全体的にかっこよく動けたし、全体的にとても満足の行く結果となったのではないだろうか。

 人助けも出来たしね!

 そういえば、以前も倉橋さんらしき人を助けたような……?いや、勘違いかな?全然人の顔なんて覚えていないからわからんないや。

 まぁ別に助けた人の顔なんか覚えている必要はないよね!

 僕は内心どこかに消えてしまったストーカーさんたちにビクビクしながら、待ってくれている悠真のもとに向かった。


 ■■■■■


「ごめん。待たせちゃって」


「いいぜ。全然。人助けをすることは良いことだからよ。さぁ、行こうぜ?」


「うん」


 僕と悠真は再度歩き出し、本屋に向かう。

 本屋に行きたいだけなのにかなり時間をとられてしまった。


「あぁ、そうそう。ねぇ、聞いて。なんかね、転校生の倉橋さんが化け物と戦っていたんだよ!驚いたなぁ」


「……あぁ。そうか。それは、驚いたな」


「うん」

 

 僕と悠真はゆっくり歩きながら本屋に向かった。


 ■■■■■

 

「……重い」


 僕は本屋で買った数冊の本が入った袋を持ってボヤく。

 目的であった本とタイトルがかっこよくて気に入った本を数冊。

 袋はそこそこの重かった。


「お前。あんなむちゃくちゃな強さあるのに、それで重いって感じるのか?」


「うん。だって今僕は魔力使っていないし。僕の強さの根底にあるのは魔力。普段の僕は完全に魔力を隠しているから、今の僕は雑魚に等しいよ」


「お?じゃあ今のお前なら簡単に殺せるのか?」


「ん。そうだね。まぁその後復活するけど」


「は?復活する?」


「うん。復活する。今ここで僕の首が跳ね飛ばされても魔力を使って再生する。僕を殺すにはまず先に僕の魔力を枯渇させてからじゃないと無理だよ。魔力がある限り無限に再生するからね」


「……化け物じゃねぇか」


「当然!化け物でもなければ神から与えられし使命をこなせないからね!(  ゚∀゚)ハァーハッハッハッハ!!」


「……いつものアホなお前で気が抜けたわ」


「ちょ!どういうこと!?」

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