第2話 学校にて

 翌日の学校で、佐藤さんに会ったら、ちょっと怒ってる。

 なんでなのか、ちょっとわかんない。何か悪いことしたかな。


「昨日、LINEのID渡したよね、なんで追加してくれないの?」


あー、そっちか。どうしよ、正直に言うしかないよな。


「ごめん、スマホ持ってない。」



「えっ、そうなの。知らなかった。なんか、ごめん。」


なんか微妙な雰囲気なってしまった。


「土日に、買いにいくよ。いつか買わなきゃだって思ってたし。」


「えっ、そうなの、なんか、悪いね。じゃあさ、それ、一緒について行ってもいいかな?」


はっ、何を言ってるんだ、この美少女は。


「ごめん、それはちょっと。」


 めっちゃ嬉しいけど、さすがに付き合ってない男女が休みの日に出かけるなんて、絶対ダメ。

 心臓が止まってしまう。


「ごめん、わかった。いきなり、図々しいよね。

スマホ買ったら、連絡先に追加してね。ぜったいだよ。」



「うん、わかった。ノートはどの教科のが、いるの?」 ノート必要って言ってたし、聞いてみた。


「数学と化学、理系科目全般。」


「そうなんだね。前みたのも、数学だったね。」


「うっ、、あれは、忘れてよぉ。」


 ちょっと、まずいこと言ってしまった。でも、反応が可愛い過ぎるんだけどぉ。


「はい、数学のノート貸しとくね。いつでも返すのいいから。」


そういって、ノートを貸してあげた。


ノートを貸す、借りる、それだけの関係。


 秘密をナイショにしてもらわなきゃいけない、そんな関係。

LINEでやり取りが始まる前の関係。


 いつの間にか、ただ同じクラスの同級生って関係から、大きく前進していた。


 べつにいやじゃない。むしろ、嬉しい。


 でも、学校で、人気のある佐藤さんと、存在感のないぼくでは、違和感しかない。








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